【モスクワ=佐々木正明】ロシアのプーチン大統領は9日までに、バルト3国のエストニアとの国境画定条約に署名する意向を示した。今年中にも両国政府が条約に調印、双方の議会の批准を経て発効する。以前にも解決に近づいたが、歴史認識が原因で紛糾、頓挫していた。今回の国境画定で、ロシアが抱える大きな領土問題は日本との間に横たわる北方領土問題だけになる。 ロシアとエストニアの議会は昨夏、国境画定交渉の進展で合意し準備を進めてきた。今年9月の国連総会で露外交団と交渉したパエト外相は今月5日、「われわれは一歩一歩、合意を重ねた。あとはロシア側の問題だ」と述べた。 両国の領土問題は第1次世界大戦直後にさかのぼる。エストニアは1920年、ロシアと交わしたタルトゥ条約で独立国となり、独自の国境線を定めた。しかし、40年にソ連に併合されて境界線は西側に押し戻された。91年のソ連邦崩壊のさいにロシアは同条約の有効性を認