「二兎を追う者は一兎をも得ず」あるいは「虻蜂取らず」という言葉がある。 要するに欲張ると何も達成できないということを示す格言なのだが、設計の世界ではあまり通じない。例えば、クルマの設計者たちは常に二兎や三兎どころではなく100でも200でも追えと言われているのである。一番分かりやすい例で言えば、軽量コンパクトに作りたいスポーツカーなのに「フルセットのゴルフバッグを2人分積めるようにしろ」という類いのヤツだ。 「そういう馬鹿馬鹿しい多方面要求をするからクルマがダメになるのだ」とメディアは簡単に書くが、そもそも設計とは相反するさまざまな要求をバランス良くまとめて、最良の妥協点を探し出すことだ。そう簡単には割り切れない。ちなみに「バランス良くまとめて」が意味するのは決して「均等に」あるいは「等価に」という意味ではない。優先順位をキチンと付け、製品企画に違わない範囲で折り合いをつけて行くと言う意味
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