1954年代前半、早稲田大学文学部に在学して美術史を学んでいた二川幸夫(1932~2013)は、建築史の教授だった田辺泰に、帰省の途中で飛騨・高山の民家、日下部礼一家を見るように勧められた。それが、将来は建築家になろうと考えていた一人の若者の運命を変えることになる。名大工、川尻治助による旧家の、美しく、堂々たるたたずまいを目にしたことで、彼の中に日本の民家をつぶさに見てみたいという強い欲求が生じてきたのだ。それから5年あまりをかけて、二川は東北から九州まで全国各地を行脚し、民家の内部空間とそれを取り巻く環境全体を克明にカメラにおさめていった。 発表するあてもなく、ただただ押えがたい情熱に揺り動かされて撮り続けていたこれらの写真記録を高く評価し、写真集として刊行しようと考えたのが、美術出版社社長の大下正男だった。美術出版社から刊行された『日本の民家』(全10巻、1957-59)は、二川にとっ
100年以上の歴史ある銀塩写真が崩壊した要因は、デジタルカメラの需要がフィルムカメラを上回り、銀塩写真の必要性が失せたということである。だれもがご存知のことと思う。さて、そのときの業界の現場ではなにが起きていたのだろう。 それ以前のロールフィルムの需要はどうであったか。1990年代後半は出荷本数が4億本を超え、1997年(平成9年)から1998年(平成10年)では、日本国内で最多の約4億8283万本を出荷していた。そして、デジタルカメラの普及で売り上げが激減。 全盛期の10年後である2008年(平成20年)には、10分の1近くの約5583万本にまで落ち込んだ。 一部のフィルムメーカーでは倒産や写真フィルム事業からの撤退。存続のメーカーでもラインの縮小という事態に陥っている。カメラ用フィルムの製造には巨額の設備投資が必要なため、一度廃業すると再生産は極めて困難といわれている。 ちなみに、最盛
写真のキホン「構図」のおさらいをしてみましょう! 忘れないで欲しい代表的な構図イロイロ いつもはちょっと変わった撮影法や応用的なテクニックをお話していますが、今回は、基本に立ち返って写真を撮るときに知っておくと便利な代表的な構図をおさらいしてみましょう。 みなさんが一番慣れ親しんでいるのが、この黄金分割構図ではないでしょうか。正確な黄金分割は、画面内に対角線を引いて、別の頂点から対角線に向かって垂直な線を引いた交点を言いますが、画面の縦横を均等に三分割した交点とほぼ同じ位置になることから、三分割構図と同等に扱われることが多いです。 この交点にメインの被写体を置くことで主題が明確になり、構図が安定しやすくなります。風景、スナップ、ポートレート、テーブルフォトなどさまざまな分野で多用されている構図です。 私がこの構図を使うときは、主題を交点よりも少し外側に当てはめることが多いです。そうすると、
第39回『木村伊兵衛写真賞』の受賞者が発表された。 昭和を代表する写真家・木村伊兵衛の業績を記念して1975年に創設された同賞は、優れた作品を発表した新人写真家を対象に毎年選出される。これまで、藤原新也、石内都、畠山直哉、都築響一、ホンマタカシ、鈴木理策、蜷川実花、HIROMIX、川内倫子、佐内正史、梅佳代、本城直季、田附勝、長島有里枝、浅田政志といった数多くの著名な写真家が同賞を受賞しており、「写真界の芥川賞」とも称されている。 2013年度の受賞者は森栄喜。東京に生きる少年達を静かに、美しくとらえた2011年発表の『tokyo boy alone』で大きな注目を集めた金沢出身の写真家。受賞作となった『intimacy』は全てスナップショットで構成された、森とその恋人や友人との1年にわたる記録だ。森は現在『Wedding Politics』と題した同性婚をテーマに写真で訴えるプロジェクト
あざみ野の横浜市民ギャラリーは、なかなか興味深い展覧会を時々やってくれてまして、これまでにも何度か見に行ってるのですが 横浜市民ギャラリーあざみ野『イメージの手ざわり』展 - 日毎に敵と懶惰に戦う 横浜市民ギャラリーあざみ野『Viewpoints』いま「描く」ということ - 日毎に敵と懶惰に戦う 今回は写真の展覧会2つということで行ってまいりました。どっちも入場無料、写真も撮影自由でしたよ あざみ野フォト・アニュアル写真の境界 « 横浜市民ギャラリーあざみ野 まずは1階で開催されている『写真の境界』非常に完成度の高い、写真展というより、写真を使ったインスタレーションだった。写真の表面を削り取る多和田有希、白黒の強烈なコントラストの春木麻衣子、被写体としての空が変容し過ぎている吉田和生、それぞれにとても良い。 多和田有希の、プリント後に表面を削られ写真、人物の集合も夜景も、それらが元から持つ
未組立プラモ写真家。稀に組む。山登る。からぱたへのお問い合わせ、文章・写真・DJ・飲酒のオファーはTwitter @kalapattar からどうぞ
Imagine Finding Me 1975 and 2005, Kamakura, Japan. ©Chino Otsuka All Rights Reserved
東京国立近代美術館でジョセフ・クーデルカ展が開かれている(1月13日まで)。この写真展がとてもすばらしい! 日本の写真家がみな霞んでしまうほどだ。こんなに優れた写真家を知らなかったことを恥じる。 展覧会のちらしから、 ジョセフ・クーデルカ(1938年チェコスロヴァキア生まれ)は、今日世界で最も注目される写真家の一人です。本展はその初期から最新作までえを紹介する展覧会です。 航空技師として働きながら1960年代初頭に写真を発表し始めたクーデルカは、知人の紹介で手がけることになった劇場写真を通じて、チェコスロヴァキアの写真界にその存在を知られるようになります。1967年には技師の仕事を辞め、写真家として独立。その翌年ワルシャワ条約機構軍のプラハ侵攻を撮影し、その写真は匿名のまま西側に配信され、それをきっかけに1970年、クーデルカは故国を離れました。 当初イギリス、後にフランスを拠点に、チェコ
カメラ全般 , 画像 2013年世界ベストフォト 2013.12.31 23:00 今年のベストな人・自然・風景フォトといえば権威はやっぱりナショナルジオグラフィックのフォトコンテスト! 2013年も最優秀・選外ともに甲乙つけ難い力作揃いです。少しピックしてみました。 (上の写真) 「砂漠のキツネ、フェネック。サハラ砂漠とアラビア半島に棲息しています。イヌ科最小の種で、耳が大きいのが特徴です。絶滅危惧種」写真・解説:José Mingorance/National Geographic Photo Contest 「東京のカラスは服のハンガーで巣をつくる。大都市では木が少ないため、巣作りに必要な天然素材が足りないのだろう。そこでカラスはたびたび付近のアパート住民からハンガーを失敬し丹精込めて巣をつくるのだ。完成した巣はまるで再利用がテーマのアートのよう」写真・解説:Yosuke Kash
2020年8月31日(月)をもちまして、nanapiに関わるすべてのサービスは終了いたしました。 nanapiは、2009年のサービス開始より「みんなで作る暮らしのレシピ」という考えのもと、ユーザーの皆さまに生活に関する様々な「ハウツー」を投稿していただく投稿型ハウツーサービスとして運営してまいりました。 約11年間にわたって皆さまからご支援をいただきサービスを継続できたこと、nanapi編集部一同、心より御礼申し上げます。 掲載されていたコンテンツなどのnanapiについてのお問い合わせは、nanapi@supership.jp までお願いいたします。 長きに渡りnanapiを応援してくださり、本当にありがとうございました。
数え上げればキリがないですが、例えば上記に挙げた写真集は、テーマも、作家も、出版社も、全く違います。一見なんら脈絡のないように見えますが、実はこれらの写真集には共通点があります。それはこれらの写真集の印刷は全て、ある一つの印刷会社が手がけているということです。その会社とは"サンエムカラー"。サンエムカラーは京都に本社を置く、美術書や写真集関係の印刷を得意とするオフセット印刷専門の会社です。数々のデザイナーや出版社が信頼を置く、日本随一の技術力を持った企業として知られています。 もし皆さんのお手元にサンエムカラーで印刷した写真集や美術書をお持ちでしたら、是非改めて観てみて下さい。カラーであれば、眼に焼き付くような印象的な色彩、モノクロームであれば水墨画のような美しい諧調や力強い濃淡が私達読者をその書籍の世界に誘い込むことでしょう。 では、サンエムカラーはいったいどのような環境で、そしてどのよ
浮世絵師・歌川広重の作品とイギリスのアーティスト、エミリー・オールチャーチの作品を紹介する企画展『東京ストーリー/アフター広重』が、11月19日から静岡・静岡市東海道広重美術館で開催される。 オールチャーチは、過去の著名作家たちの絵画やプリントをフォトコラージュの技法を用いて現代を表す景色として再現する作家。2012年に行われたイギリスのエリザベス女王即位60周年記念の祝賀行事『ダイヤモンド・ジュビリー』で、政府からの受注制作を行ったほか、テート・モダンなどのワークショップ講師として教育普及にも参加している。 同展では、名所絵や風景画を多く描いた広重の集大成とも言える晩年の代表作『名所江戸百景』と、オールチャーチが手掛けた『名所江戸百景』のオマージュ作品『東京ストーリー/アフター広重』全10点を展示。さらに広重の『東海道五拾三次之内』をテーマに、制作したオールチャーチの新作『Tokaido
DDN は 音楽 ・ 映像 に関する デジタル アート を中心に情報ミックスを配信中
DDN は 音楽 ・ 映像 に関する デジタル アート を中心に情報ミックスを配信中
あなたはどの「仕事場」が好きですか? 作業効率は作業環境に比例するといってもいいほど大事なもの。デスクはきれいに整理整頓され、快適なWi-Fi環境があり、人間工学に基づいた椅子がある…。しかし、それは本当に「あなたの仕事」に最適な仕事場でしょうか? Tumblrの「Famous Workspaces」というサイトでは、有名人の仕事場の写真を見ることができます。その多くはクリエイティブな職業の人たちばかり。彼らの仕事場からは、彼らの生み出すもの同様、強烈な「個性」が感じられます。 マーク・ザッカーバーグ ウォーレン・バフェット ジャクソン・ポロック レイ・イームズ アレクサンダー・カルダー ジョアン・ミロ パブロ・ピカソ ジョン・レノン&オノ・ヨーコ ジャックホワイト ボブ・ディラン アルベルト・アインシュタイン そして最後は、シャネルのデザイナー、カール・ラガーフェルド。壁中に収納された本
いわいとしお×東京都写真美術館 光と動きの100かいだてのいえ ―19世紀の映像装置とメディアアートをつなぐ B1F 展示室 2024.7.30 ( 火 ) — 2024.11.3 ( 日・祝 )
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く