渡辺 康仁 日経ビジネス副編集長 1994年日本経済新聞社に入社。2002年から2004年まで日経ビジネス記者。日経新聞に戻り、編集局経済部などを経て2013年から日経ビジネス副編集長。アベノミクスの行方に関心を持つ。 この著者の記事を見る
渡辺 康仁 日経ビジネス副編集長 1994年日本経済新聞社に入社。2002年から2004年まで日経ビジネス記者。日経新聞に戻り、編集局経済部などを経て2013年から日経ビジネス副編集長。アベノミクスの行方に関心を持つ。 この著者の記事を見る
その日、私のツイッターのタイムラインはイカで埋まった。 ここ最近、同調圧力という言葉をWEB上でよく見かける。 いや、私がフォローしているような方々は、世の中ではあたりまえと考えられていることに、そう易々とは同調しない偏屈な人が多く、同じ意見や見解ばかりTLに並ぶ、という事態には、ほとんどならない。 ただ、そういう方達でも、そのときどきのTL上で話題になっている事柄……大きなニュースや、数多くリツイートされたつぶやきや、トレンド欄に並ぶようなワードに対して、まるきり無関心でいられる(あるいは無関心であるふりをしていられる)我慢強い人は、そう多くはない。 たいていの人は、乗っかる。 実は自分がさほど詳しくない話題であっても。 ここは一言、俺もなにかいっておかないといけないんじゃないか、という誰にいわれたわけでもない謎の義務感に突き動かされ、bitの無駄づかいのようなつぶやきをしてしまう。そし
三菱重工業と日立製作所が火力発電事業を統合する。安定した内需が見込めず、主戦場の海外に打って出る。だが、欧米や中国勢などとの競争にはまだ力不足だ。 「欧米や新興国メーカーとの競争に勝ち抜く」(三菱重工業の大宮英明社長)、「日本最強の組み合わせ。海外のメジャープレーヤーに打ち勝つ」(日立製作所の中西宏明社長)。11月29日に都内で開いた記者会見で、両社の社長は事業統合を機に火力発電機器で本格的に世界市場へ打って出る考えを強調した。 ガスタービンやボイラーなど火力発電システム事業を中心に統合する。地熱発電システムや脱硝・脱硫装置などの環境装置、燃料電池事業も統合対象にする。2014年1月に誕生する統合新会社は、三菱重工が65%、日立が35%を出資し、年間売上高は1兆1000億円程度。国内では最大規模の発電機器メーカーだ。 だが、世界市場ではまだ「準大手」の地位にとどまる。米ゼネラル・エレクトリ
12月16日に投票日を控える第46回衆議院議員選挙。今回もまたインターネットを活用した選挙運動が認められないまま選挙戦に突入した。こうした中、4日に公示日を迎えた後も日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長がツイッターで投稿を続けているほか、新党大地の鈴木宗男代表もウェブサイト上で日記の更新を続けている。公職選挙法の制定は遡ること62年前の1950年。法で定めた文書図画以外の頒布、掲示を認めていない現行法は、インターネットという限りなくコストが低く、広く情報を伝達できる選挙ツールの使用を縛り続けている。 米ツイッターにはワシントンD.C.を拠点に政府関係者、報道関係者、非営利団体などと連携しながらアドバイスをする専門チームがある。同組織の責任者を務めるのがアダム・シャープ氏。約2年前の2010年11月にツイッターに入社したシャープ氏は過去、上院議員の補佐官代理を務めた経歴もある、政治とインター
中国共産党は中華人民共和国を指導する政党である。その中国共産党の今後5年間の新たな指導機関である中央委員会を構成する中央委員と中央候補委員が2012年11月8日から14日まで開催された「中国共産党第18回全国代表大会」で選出された。 翌日15日に開催された「中国共産党第18期中央委員会第1回全体会議」(一中全会)でその選出された中央委員および中央候補委員によって新たな指導部が選出された。こうして2期10年間にわたった胡錦涛総書記と温家宝総理を中核とする指導部から新たな習近平総書記と李克強総理を中核とする指導部への政権交代が完了した。 中国では歴代の中国共産党指導部を、毛沢東を中核とする第一世代(1949~1976年)、鄧小平を中核とする第二世代(1976~1989年)、江沢民を中核とする第三世代(1989~2002年)、胡錦涛を中核とする第四世代(2002~2012年)と呼ぶ。新たに誕生し
「ついに我々も日本病に罹った」――韓国のメディアが書く。不動産価格の下落に続き、株安、成長率の急減、企業のリストラなど、20年前の日本を思わす深刻な症状が相次ぐからだ。 「嫌いな日本を追う我ら」 最大手紙、朝鮮日報の朴正薫・副局長兼社会部長が11月9日付で書いたコラムが興味深い。見出しは「それほどに嫌いながらも、日本を追う我ら」だ。 東京特派員経験者の朴正薫・副局長はこう書き出した。「認知症の妻を殺したソウル文来洞の78歳の老人の事件を見て『来るものが来た』との思いで胸がふさいだ。日本がすでに体験している高齢化の絶望的局面が結局、我々にも訪れたということだ……しかし韓国は『日本病の回避』という国家の課題では苦戦している」。 ついに日本を追い越したのに…… 日本に詳しい韓国紙の社会部長は「高齢化社会の日本の後を韓国が追う」明らかな証拠を、ソウルの殺人事件に見出したのだ。 同じ朝鮮日報の、やは
グーグル、フェイスブック、ツイッターなど、人々の生活や働き方を変える技術と衝撃をもたらすインターネット企業を数多生み出してきた米シリコンバレー。この地にまた1つ、世界を変えようとするネット企業が脚光を浴びている。 その名は、エバーノート。パソコンやスマートフォンなど、様々な情報端末で作成した「メモ」をインターネット上に一元管理できる「Evernote」を提供する。極めてシンプルなコンセプトと使い勝手の良いサービスは瞬く間に心を捉え、利用者は急増。2008年のサービス開始から4年で、世界の利用者数は約4000万に到達し、日本、中国、ヨーロッパなど、世界的なサービスとなった。 当然、投資家もエバーノートを放っておかない。セコイアキャピタルやメリテックキャピタルパートナーズなど、シリコンバレーの著名なベンチャーキャピタルが同社に出資している。会社評価額は既に10億ドル(約800億円)規模となり、
ニューヨーク・タイムス(NYT)が先月に報じた温家宝首相のスキャンダルにはちょっと驚いた。温家宝ファミリーが不正蓄財していることに驚いたのではなく、権威あるNYTが現役首相のスキャンダルをスクープとして報じたことにである。 6月末にブルームバーグが習近平・副主席ファミリーが3億7600万ドルの資産を保有していると報じたのも驚きだが、一応これは不正の形跡なしという断りを入れていた。今回は、明らかに首相の職位を利用した不正蓄財だと、告発している。 これが香港誌や欧米拠点の華字インターネットメディアの報道であれば別に驚きもしないし、実際に温首相の長男のインサイダー株式取引による蓄財や宝石商の妻の強欲ぶりなどは、香港ゴシップ本を愛読する者にはおなじみのネタだろう。 だが、NYTが独自調査を経て、裏を取って報じている、というのであれば、これは驚きである。1つは中国の現役政治家のスキャンダル報道という
「日中関係が微妙なこういう時期、AKB48が好きだっていう若い中国人はすごくプレッシャーを感じるわけですよ。ほら、だって、彼ら一人ひとりは自称『プチ日本評論家』なわけですからね。板挟みになって、正直つらかったと思います」 あれは9月中旬、日経ビジネスオンラインから「えっ、『日本は中国と戦争したがっている』って?」の執筆を依頼されたころだ。尖閣問題で反日デモが激しく燃え上がる中、以前取材を通して知り合った王一凡(29歳)と再会した。彼は、私が王に会った目的(尖閣問題についての意見)とは一見、無関係かに思える内容をいきなり話し始めた。 その話とは、「AKB48はなぜ、中国でこんなにも人気があるのか?」についてである。 王は以前、中国で雑誌記者をしていたことがあり、日本のオタク文化に非常に詳しい。 「中国でAKB48のファンは、百度(中国の大手ネットサービス)のBBSユーザーだけで約10万人、実
先日、重なる入校作業の合間に突然、油っこいものが食べたくなった。仕事が詰まってくると、なぜかいつも体が油を欲するようになる。そこで仕事帰りに近所のコンビニエンスストアを訪れた。目当ては「カルビー ポテトチップス」だ。 普段の生活で、スナック菓子を食べることはほとんどない。けれどもその日は、とにかく、ポテトチップスが食べたかった。手に入るなら「うすしお」でも「コンソメ」でもいい。とにかく、子供の頃から食べ慣れた、あのカルビーのポテトチップスをお腹いっぱい食べたいと思っていた。 普段から愛用しているコンビニである。どの売り場に何が並んでいるのかは、体が覚えている。足は自然に菓子売り場に向かい、そして、いつもの場所で足を留めた。 しかし、である。どんなにじっくりと棚を見ても、目当ての「カルビー ポテトチップス」は見つからない。念のために、小さな店内をくまなく回った。あるわけないと思いながら、日用
橋下徹大阪市長に関する特集記事が掲載された週刊朝日(10月26日号)を、私は、発売日の昼過ぎに入手した。 購入を急いだのは、ツイッターのタイムラインがちょっとした騒ぎになっていたからだ。 「これは早めにおさえておかないと売り切れになるぞ」 そう直感した私は、直近のコンビニに走った。 さいわい、店の棚には最後の一冊が残っている。運が良かったのだと思う。 周囲には、買いそこねた連中が結構いる。聞けば、翌日の朝には、どこの書店を探しても見つからない状態になっていたらしい。それだけ良く売れたということだ。 が、話は、売れ行き好調ということだけでは終わらない。 その後に起こった一連の出来事を考えれば、雑誌が完売したことは、悪夢のはじまりに過ぎなかった。 なんだか、大仰な書き方になっている。 昭和のルポルタージュの文体に影響されているのかもしれない。 怨嗟と情念。夜霧に浮かぶ影のような記憶。こういうも
今年のノーベル文学賞は中国人作家の莫言さんが受賞した。もう10年前ぐらいから受賞する、と言われ続けていて、私も新聞記者として北京駐在していた頃は、季節になると受賞したときのことを想定して、記事の仕込みをしていたものだ。おそらく、日本の文芸担当記者は、毎年この季節になると村上春樹受賞原稿の下準備をするのだろう。今年も村上春樹さんが候補筆頭で、対抗馬が莫言さんと言われていた。私は特に根拠を持たないが、村上さんより莫言さんが受賞するのではないか、と思っていた。というか受賞してほしいと思っていた。 莫言さんには何度もインタビューしたし、とくに取材というわけでもなく次回作の構想などをお聞きすることもあった。代表作『豊乳肥臀』が5年間も発禁処分にあった理由、言論統制と莫言式マジックリアリズム表現が生まれた背景などについては2006年秋に産経新聞連載「話の肖像 語る莫れと言う莫れ」で書いたので、ひょっと
物事に大きな影響を与える前提なのに案外知られていない。その一つがコンピュータソフトウエア投資とソフト開発技術者の所属先に関する日米の差である。 日本企業は自社で利用するソフトのほとんどをIT(情報技術)企業に開発させているのに対し、米国企業はソフトを内製する比率が高い。 日本のソフト開発技術者の大半はIT企業に所属するが、米国のソフト開発技術者の大半はIT企業ではなく一般企業に所属している。 上記二つの文は同じことを言っている。日本企業は社内にソフト開発技術者をあまり抱えていないためIT企業に外注するが、米国企業は社内にソフト開発技術者がおり内製できる。 「ほとんど」「高い」「大半」では曖昧なので数字を補足する。米国商務省経済分析局の数字によると、2010年の米国民間企業におけるソフトウエア投資の内訳は、内製(自社開発)が37.3%、外注(他社委託)が34.2%、パッケージソフト購入が28
「日本を叩く時は中国の後ろをついて行く」という韓国の戦略が揺らぐ。「尖閣」で日本が韓国の予想を裏切って善戦しているうえ、共闘しているはずの中国から韓国自身が脅され始めたからである。 中韓も専門家は「法律論では自国が不利」 韓国の金星煥・外交通商相は9月28日、国連総会の一般討論演説で日本に対し「従軍慰安婦への補償」を求めた。さらに「独島(竹島)問題の国際司法裁判所での協議拒否」を強調した。ただ、いずれも日本を名指しせず、間接的な表現をとった。 金星煥・外交通商相は「歴史の暗い面に向き合い、過去の過ちを正せ」とも説教。「歴史」を持ち出したのは「慰安婦」でも「独島」でも「日本=戦犯国」を強調すれば世界の理解が得られるとの判断だ。 ことに「尖閣」で激しく日本と対立する中国の歓心を買え、「独島」での対日圧力を増せると韓国は期待したのだろう。中国も「尖閣」は「日本=戦犯国」が奪ったもの、という理屈を
9月30日は中秋の名月だった。中国では月餅を贈りあい、家族や友人ら親しい人でごちそうを囲んだり、パーティを開いて、この日を楽しむ。ちょうど北京にいたので、知り合いの北京人のカラオケパーティに誘われた。ゴッドマザーと言うべきおばあさん、そしてその子供たち、それぞれの連れ合い、家族、年配者から孫世代までが一同に集まり、飲んで歌っての宴会である。 典型的な北京のプチブル家庭。このパーティに誘ってくれたのは日本に留学経験がある24歳の女の子で、彼女の家族、親せきは誰もが「日本の友人を歓迎!」と、先日の反日デモなど嘘のような友好ぶりを示す。年輩者も一緒ということもあり、歌われる曲も革命歌や抗日軍歌が多かった。するといちいち、「ごめんね、特に(嫌がらせの)意味はないのよ」と言いわけする。こちらも、こういう宴席ではリズミカルで勇ましい抗日軍歌は外せないのは分かっているので、「別に気にしてないよ~」と答え
国際化によって、海外で活躍できる新卒が求められている。就職活動に不安を抱える学生は、こぞって海外インターンへ。「グローバル人材」に思惑が交錯するが、実態には疑問符も。 8月23日、千葉県の成田国際空港に近いホテルに、100人の学生が集まった。「GLAC」というプログラムで、8月末から9月初旬にかけて、ベトナムやインドでの海外インターンシップ(就業体験)に参加する学生たちだ。 主催は経済産業省。経済の国際化に合わせて、グローバル人材の育成を国も後押しする。学生はインドとベトナムにある約40の日本企業の現地法人や海外支店などに振り分けられて、海外での仕事を体験する。ホテルでは派遣先ごとに数人のグループに分けられて、渡航先の国や企業の状況について調べ、自らがインターン期間中に学びたい目標を発表した。 100人のグローバル人材育成を目指すこの企画には、1億円の予算がついている。渡航費用や宿泊代のほ
“劉志軍”という名前を覚えておられるだろうか。劉志軍は2003年3月から2011年2月までの丸8年間、中国政府“鉄道部”の“部長(大臣)”として君臨し、鉄道にかかわる全権を掌握して絶大な権力を振るった人物である。19歳で鉄道の臨時工夫となったのを振り出しに、鉄道部門でとんとん拍子の出世を遂げた。50歳で鉄道大臣にまで上り詰めた劉志軍の出世譚は、2011年2月に職権濫用による汚職が摘発されて幕を閉じ、一挙に奈落の底へと転落することとなった。それはまさに平家物語にある「驕れる人も久しからず」のたとえ通り、と言えるものだった。 鉄道部長在任中の劉志軍は、中国の新幹線である“高速鉄路(高速鉄道)”の建設に精力を傾注した。海外からの技術移転を推進するとともに国産設備や車両の研究開発を奨励し、性急なまでに建設を加速させた。そして、中国の高速鉄道は飛躍的な発展を遂げた。2010年12月7日付の全国紙「経
「なぜ面白法人は、鎌倉にあるのですか?」という質問をよく受けます。 またそれに対する回答もこのブログに何度か書いてきました。それに対する回答は「単純に海と山とお寺があって気持ちがいいところだから。それにあらゆるデジタル機器の発達により物理的距離に制約がなくなる時代になっていきますしね・・・」という極めて人間的な直感でお答えする時もあります。 一方で次のように答えることもあります。「これからは会社のロイヤリティをもつ時代ではなく、どこに住むか、自分の住んでいる身近な環境をどうよくしていこうかにロイヤリティを感じる時代になる、そう考えた時に地域も、勝ち組、負け組がはっきりし、カヤックで働きたいという人よりも、鎌倉に住みたいからカヤックで働いてもいいかという人が増える。だから市と一緒になって市の価値を高めるお手伝いをする」。 そんな風に答えています。 会社にロイヤリティを持ちにくくなる時代 「会
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