場内MCなのだから、話すのが仕事だ。だが、一度だけ黙ってしまったことがある。状況からして、しゃべる必要がないと感じた。 1999年、浦和レッズは年間順位で16チーム中15位に沈み、J2への降格が決まった。その年の残留争いは最終節までもつれ込んだ。浦和はサンフレッチェ広島を相手に90分間で勝利を決めればJ1への残留が決まる。だが、90分で勝ち点3は手繰り寄せられなかった。他会場の結果で勝ち点を上回るチームが現れ、延長戦に入る前にチームもサポーターも降格が決定したことがわかっていた。 「最後の試合、延長戦の末に勝ったことは勝ったんですよ。でも、どう言えばいいのかなっていう……『ご覧いただきましたように』と言っても、もうJ2に落ちているのはみんなわかっているので、言わなくていいと思ったんです」 Jリーグの開幕当初から浦和レッズの場内MCを担当してきた朝井夏海(あさい・なつみ)さんは、クラブの絶望
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