先週末、京都大学山中伸弥教授のiPS細胞の樹立のニュースが大きく報じられた。その夜のテレビは、どこのチャンネルを見ても山中教授がインタビューに応じている姿が映し出されていた。主要新聞のほとんどが社説として扱い、世間の注目度の高さが示されることとなった。 山中教授は、一般的に考えられる大教授のイメージとは違う、親しみやすく、いつでも穏やかな、そして少しお茶目な先生であるが、今回の大発見を考えると、実は温かな表情に隠された裏に研究室での鬼の形相を想像してしまう。そのくらい我々基礎研究者にも大きなインパクトをあたえるiPS細胞の発見である。 iPS細胞はinduced pluripotent stem cell(人工多能性幹細胞(※1)と日本語では表現されている)の略であるということである。人工の多能性幹細胞がなぜかくも注目を集めるのだろうか。 iPS細胞とは何か ヒトの皮膚の細