安倍晋三、菅義偉の両政権時代には同性婚や選択的夫婦別姓、ネット上の中傷対策など生活に関する制度のあり方などが問われた。新型コロナウイルス対策として憲法に緊急事態条項の創設を求める声も出ている。一方で、両政権は憲法に基づき臨時国会の召集を野党が求めても拒否するなど「憲法軽視」の批判も相次いだ。自民党総裁選では省庁改革など「国のかたち」もテーマに挙がっている。憲法学者として現状をどう見ているのか。九州大教授で憲法学が専門の南野森(しげる)さんに聞いた。【聞き手・吉川雄策】 ――総選挙の争点や政治の課題をどう見ていますか。 ◆菅首相は1年間、新型コロナ対策についてそれなりにやってきたと思いますが、必ずしも国民に一生懸命さが伝わっていませんでした。これはどういうことか。一つは…