【シンガポール=吉村英輝】マレーシア上訴裁判所は14日、イスラム教徒でない人々が神を表す言葉として「アッラー」を使うことを禁じる判決を下した。4年前の高裁判決を破棄しての逆転判決で、カトリック教徒側は「アッラー」という言葉は以前から使用しており、信教の自由に抵触するとして反発している。宗教間の対立が深まる事態も懸念される。 イスラム教を国教とするマレーシア政府が、カトリック系紙「ヘラルド」のマレー語版に対し、キリスト教の神を表す訳語として「アッラー」を使用することを禁じたのが問題の発端だ。ヘラルド紙の提訴を受けた高裁が2009年12月、使用を認める判決を下したところ、イスラム教徒がキリスト教会に放火するなどの暴動に発展し、政府側が控訴していた。 ヘラルド紙側は、マレー語で神を表す言葉はアラビア語源の「アッラー」に当たり、現地のキリスト教の聖書などでも長年にわたり使用されてきたと主張。これに