国家と政府という二つの団体の間には、次の本質的な相違がある。前者はそれ自身によって存在するのに対し、後者は主権者によってのみ存在する。 だから統治者の支配的意思は、どこまでも一般意志、言葉をかえれば、法に他ならないか、またはそうでなければならない。 彼らの持っている権力は彼らの内に集約された国家権力にほかならない。彼らが何らかの絶対的、独立的な行動を自分の専断で行おうとするやいなや、国家全体を結びつけている紐帯は解け始める。 最後に統治者が主権者の意思以上に能動的な特殊意思を持つようになれば、また、この特殊意思に従おうとして、その掌中に委ねられた国家権力を使用し、そのため、いわば法律上と事実上の二つの主権者が生じるようになれば、たちまち社会的結合は消滅し、政治体は解体するであろう。 ルソー「社会契約論」第三編 第一章 政府一般について 現在の日本の統治者=政府(官僚) 法律上の主権者=日本