「文官見習いとして実務を経験していなければ、文官にはなれぬ。君の希望は図書館司書だろう? 印刷業の仕事を優先しなさい」 それぞれの家庭問題に踏み込んでお節介を焼いて、社会システムをひっくり返して大混乱に陥らせる前に、まずは自分の仕事を片付けろ、と神官長に諭された。 「目の前に迫っている城での販売会からだ。プランタン商会への通達は終わっているのか?」 「大丈夫です。工房も準備できているとフランから知らせは受けています」 わたしが寝ている間もシャルロッテとダームエルが神官長に話を通して、プランタン商会は毎年城で本の販売していたようで、恒例になっているそうだ。 今年も何人ものお客様が来て、本を買って行った。 おそらく誰の目にも一番印象的だったのは、購入順の最前列を陣取っていた前ライゼガング伯爵に違いない。この間、わたしの祝福と共にぶっ倒れたのが、復活していた。なんと介護者を連れて、杖を使ってよろ
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