一カ月ほど前の本紙コラム「私の1本」で論説委員の皿木喜久氏が『ローマの休日』を取り上げていた。ヘプバーン主演の楽しい映画だ。しかし、この名画は楽しいだけでなく、その背景には王室への期待感もうかがえるという論旨だ。皿木氏らしい鋭い眼力だが、この映画には日本人の九九・九九%が気づかないもう一つの重要な背景がある。関連記事ローマでマンUファン刺されるローマ皇帝博物館にペンキ 右翼活動家…記事本文の続き この名画は本当にローマにおける休日を描いたのだろうか。原題は確かに「Roman Holiday(ローマの休日)」だし、某国のアン王女のローマにおける一日の息抜きを描いてはいる。しかし、この名画の邦題は原題を直訳した一種の誤訳である。正しくは『はた迷惑な王女様』か『王族のスキャンダル』としなければならない。 ちょっと大きい英和辞典でこの言葉を引けば分かるが、「Roman Holiday」は熟語である