世間中が原発問題で口角泡を飛ばしている。「安全神話」崩壊の今、不思議ではない。「反原発」、「脱原発」、原発と非原発電源の「ベストミックス」、原発技術改良による「路線変更不用」論。その陰で注目を要する現象が出てきた。世間中が「核」の議論を忘れてしまったかに見える。 「災前」は違った。原発論議は一部にあったが、世間はさほど興味を示さなかった。他面、極東の「核安保」環境を反映して、日本国内の核論議は次第に活発化しつつあった。なぜ、その核論議が止んでしまったのか。 ◆震災で「核」環境忘れた日本 大震災、巨大津波、原発事故が極東の「核」環境を変えてしまったからか。否である。3・11は、日本を取り巻く核保有4カ国-米露中および北朝鮮-のここ10年ほどの核政策に変化の兆しすら与えていない。である以上、「災後」日本に核論議が鳴り止んだのは、3・11ショックで日本人自身が極東の「核」環境に対する凝視を止め、