納期までにシステムが完成しなかったことの責任がベンダ,ユーザのいずれにあるのかが争われた事例。 事案の概要 ユーザX(健保組合)が,ベンダYに対し,基幹情報システムの開発を委託したところ,期限までに完成しなかったなどとして,支払済みの約2.5億円の返還と,損害賠償約3.4億円の支払いを求めたのに対し,ベンダYは,システムの開発が遅延したのはユーザXの協力がなかったことが理由であるとして,約4.6億円の損害賠償を求める反訴を提起した。 ここで取り上げる争点 ベンダY及びユーザXは,契約上どのような義務を負っていたか。 開発が遅れて完成しなかった原因は何か。その責任はいずれが負うべきか。 裁判所の判断 【プロジェクトマネージメント義務】 裁判所は,次のとおり,システム開発業者が負うべき義務として,プロジェクトマネージメント義務があるということを明言している。 Yは、システム開発の専門業者として