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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (8)

  •  「Animal Weapons」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Animal Weapons: The Evolution of Battle 作者: Douglas J. Emlen,David J. Tuss出版社/メーカー: Henry Holt & Co発売日: 2014/11/11メディア: ハードカバーこの商品を含むブログを見る 書は糞虫(糞性コガネムシ)のツノの研究で有名なダグラス・エムレンによる動物の武器についての一般向けの啓蒙書だ.序言には,子供の頃から大きな武器に取り憑かれていて,博物館ではマストドンの牙やトリケラトプスの角に魅入られていたという想い出が語られている.そしてリサーチキャリアが始まったときに,熱帯で研究できて,身体の大きさに比較して武器が大きく,さらに何のために一部の種に大きなツノがあるのかについて知られていなかったという理由で糞虫を対象とすることになる.糞虫のツノは著者を今も魅了し続けており,書を書くにいたった

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  •  「遺伝子の不都合な真実」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    遺伝子の不都合な真実―すべての能力は遺伝である (ちくま新書) 作者: 安藤寿康出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/07/01メディア: 新書 クリック: 19回この商品を含むブログ (34件) を見る 書は日の行動遺伝学の第一人者である安藤寿康による,「ヒトの行動傾向のすべてにかなり大きな遺伝の影響がある」という行動遺伝学のソリッドな知見(そしてリベラル知識人からは「不都合な真実」)を我々の社会はいかに受け止めるべきかに関するだ.これは前著の「遺伝マインド」でも最終章において追求されたテーマだが,書ではさらに一歩論を進めている. 最初に「はじめに」で書における著者のメッセージをまとめている. ヒトの行動傾向,能力,性格は遺伝の影響を受けている.そしてこれまでの社会学,教育学はそれを「不都合な真実」として扱ってきた.しかし真によい社会を目指すならそれに向き合わなければ

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  •  「国家はなぜ衰退するのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 作者: ダロンアセモグル,ジェイムズ A ロビンソン,稲葉振一郎(解説),鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/06/21メディア: 単行この商品を含むブログ (31件) を見る国家はなぜ衰退するのか(下):権力・繁栄・貧困の起源 作者: ダロンアセモグル,ジェイムズ A ロビンソン,稲葉振一郎(解説),鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/06/24メディア: 単行この商品を含むブログ (21件) を見る 書は政治経済学者のダロン・アセモグルとジェイムズ・ロビンソンによる,彼らの10年以上にわたるリサーチブログラムの成果を一般向けに書き下ろした「Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty」(2012)の邦訳だ. 基

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  •  公開シンポジウム「人間とは何か―ヒトとそれ以外の霊長類の比較研究から分かること」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    10月4日(日)に京都大学霊長類研究所の主催で公開シンポジウムが開かれたので参加してきた.場所は東大郷キャンパスの赤門を入ったところのすぐ北側に安藤忠雄の設計で昨年3月に竣工なった「福武ホール」.コンクリート打ちっ放しの壁の奥に地上1階,地下2階の細長い建造物ができていて,カフェなども併設されている.なかなか最近は東大もおしゃれになったものだ. これはベネッセが後援している比較認知発達研究部門の成果発表でもあるということで,ベネッセ(旧福武書店)がスポンサーということのようである.ベネッセ主催ということで女性の方の参加も多くその意味でも独特の雰囲気のシンポジウムとなった.会場では最近京大霊長類研究所が講談社ブルーバックスから出した「新しい霊長類学」も展示販売されていたが.これはベネッセ買い上げ分で,収益金はチンパンジー保護運動に寄付され,松沢先生のサインもいただけるということだった.早速

     公開シンポジウム「人間とは何か―ヒトとそれ以外の霊長類の比較研究から分かること」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 「Bad Acts and Guilty Minds」序章 飛ぶ前に見ることが必要な人たちへ - shorebird 進化心理学中心の書評など

    序章のタイトルがなかなか笑わせてくれる.要するにこれから何について語るのかの概要を示しているのだが,こんなところを見なくてさっさと章を読んでもいいよというわけだ. いくつかの刑法の問題は初心者にとって魅力的だし,そしてそれは専門家にとってもそうだという.多くの人は刑法は「十戒」のようなもので,やってはいけないことを列挙しているだけだと思っているかもしれないがそれはそうではないという.そしてそんな列挙だけではなぜうまくいかないのかを示しているのが書でもあるという.日では刑法総論として語られる部分だ. 書の構成は以下の通りとなる. まず第1章はNecessityの抗弁から始まる.これは日法では「緊急避難」といわれるもので,通常「違法性」要件に当たる.英米法では違法性の問題か責任の問題かであいまいであるらしい.救命ボートから定員オーバーの人間を放り出す行為,共産主義から逃げ出すためにハ

    「Bad Acts and Guilty Minds」序章 飛ぶ前に見ることが必要な人たちへ - shorebird 進化心理学中心の書評など
  •  「The Evolution of God」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Evolution of God 作者: Robert Wright出版社/メーカー: Little, Brown and Company発売日: 2009/06/08メディア: ハードカバー クリック: 11回この商品を含むブログ (2件) を見る ロバート・ライトによる宗教を文化進化的に考えてみようという大著である.ロバート・ライトは寡作のサイエンスライターで,1994年という早い時期に「モラル・アニマル」という進化心理学の一般向け啓蒙書を書いたことで知られる.その次の著作は2000年の「Non Zero」.これは人間の歴史をノンゼロサム的な状況の拡大の歴史として捉えてみようという野心的な書物で,狩猟採集民族からグローバルな経済社会まで,ノンゼロサム的な状況に対して協力的な解決策がとられてきたことを見ていくというものだった.なかなか面白い書物であったが,最後の2章で,集合的な意

  •  「ぼくには数字が風景に見える」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ぼくには数字が風景に見える 作者: ダニエル・タメット,古屋美登里出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/06/13メディア: 単行購入: 22人 クリック: 229回この商品を含むブログ (158件) を見る これはアスペルガー症候群,サヴァン症候群で,かつ共有感覚者である著者による驚くべき自伝である.彼は他人の感情把握が苦手な子供として生まれ育つが,数字に関する優れた才能と共有感覚を持っている. このの第一の興味はこのような感覚者が実際にどう物事を感じているかを開示してくれているところにある.数字には色と形があり,著者にとってはすべての数字が同じ大きさであったり同じ色であったりするのは不自然なのだ.そしてそれぞれの自然数はそれぞれ独自の特徴があり,素数はすぐにわかるのだそうだ.そして,計算や記憶もそのような形や質感によって説明されていて興味は尽きない.代数は数がそれぞれ独特で

     「ぼくには数字が風景に見える」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  •  「The Creation」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Creation: An Appeal to Save Life on Earth 作者: Edward O. Wilson出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc発売日: 2006/09/01メディア: ハードカバー クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見る 書はE. O. Wilsonによる環境保護を訴える啓蒙書だ.ウィルソンは社会生物学論争の後,種の多様性を訴え続けており,もう何冊もを出しているが,書はコンパクトな170ページ弱の小品である. 書の主張の特徴はメインターゲットを宗教関係者におく体裁をとっていることだ.ウィルソン自身はアラバマの生まれで信心深いバプティスト派のクリスチャンの家庭に生まれているので,アメリカ南部の宗教的な文化への理解も深いのだろう.文はDear Pastor(牧師さん)という呼びかけで始まっている. ウィル

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