(英エコノミスト誌 2009年11月28日号) ロシア大統領は近代化を強調するが、成果はほとんど期待できない。 かつてロシアで盛んに使われたのは「安定化」という言葉だったが、今は「近代化」である。実際には、どちらもほとんど存在しない。10年前と比べて、ロシアの未来は一段と不透明なものとなっているし、近代化はさらに達成困難なものとなっている。 しかし、使う言葉が変われば、変革への期待が生まれる。そして、ここ数カ月、ドミトリー・メドベージェフ大統領が話したり書いたりすることは、必ずと言っていいほど近代化についてだ。 そうすることで、メドベージェフ氏は1980年代後半の「ペレストロイカ」の亡霊を呼び覚ましている。1985年4月、ソ連共産党書記長に就いたばかりのミハイル・ゴルバチョフ氏は経済のマイナストレンドについて語り、安定と政治の継続を維持する一方で、科学技術の向上を急ぐ必要があると強調した。
グルジア紛争直後の2008年9月6日にワールドカップ予選試合の観戦を口実としたトルコのアブドゥラー・ギュル大統領のアルメニア訪問で始まった「サッカー外交」は、今年8月31日には6週間以内での合意を目指すことを打ち出した。 どうやら10月14日に今度はトルコで再び予定されているワールドカップ予選試合におけるアルメニアのセルジュ・サルグシャン大統領の観戦までに合意を目指しているようだ。このサッカー外交の結果は、予定通りなら来週にもその全容が明らかになる(現時点の報道では、国境を開くことと、歴史認識を巡る政府間委員会の設置が見込まれている)。 今回の動きが昨年のグルジア紛争後に急展開を見せているのは決して偶然ではない。コーカサス山脈を越えて再び橋頭堡を築いたロシアに対し、各国とも新たな対応を求められている。これまでロシアと距離を保ってきたアゼルバイジャンはロシアとの関係修復を模索し、アルメニアは
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(注)本稿はHP「石油と中東」に上下一括掲載されています。 9月9日、オーストリアのウィーンで第154回OPEC総会が開かれ、昨年12月総会で決議された生産枠を維持することとなった。8月以降WTI原油価格は60ドル台後半、時として70ドルを超える状況にあり、OPEC加盟国はこの価格水準にほぼ満足している。一方需要は米国、中国で景気回復の兆しが見られるものの、その他の欧米、日本、アジア新興工業国などは依然不透明である。 原油を減産するべきか、はたまた増産するべきか、OPEC加盟国に迷いが見られた結果が今回の現状維持の決定に至ったと考えられる。一方、そのようなOPECを尻目にロシアは大幅な増産を行なっており、今やサウジアラビアを上回る世界一の生産量を誇っている。ロシアはこれまでOPEC総会にオブザーバーとして出席し、少なくともOPECの決定を尊重する姿勢を示していたが、今では自国の増産について
(2009年8月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ロシアについてよく語られるのは、1990年代に陥った混乱状態から復活を遂げた大国だという物語である。石油、天然ガス、独裁政治によって、ロシアは再び世界列強の仲間入りを果たしたというのだ。 もっと大げさな見方には、ロシアは、中国と並んで西側の自由主義に挑戦する全く新しいモデルを作り出したというものまである。 だが、ロシアの何が筆者を最も驚かせるかと言うと、それは同国の孤立だ。回復した石油・天然ガスの収入や、残り物とはいえ、強大な軍事力があるにもかかわらず、ロシアには基本的に友人がいない。 資本主義の優れたシステムという点では、誰か重要な地位にある国際的な政治家が、自分たちが選ぶ模範としてロシアを挙げたのを最後に聞いたのはいつのことだっただろう。 確かにロシアは、何人か忠実な従者がいると主張することができる。旧ソ連を構成してい
「北大西洋条約機構(NATO)*1への加盟についてコメントするのは、現時点では難しい。しかし『ネバー・セイ・ネバー』という言葉もありますからね」 2008年11月、グルジアとの戦争を巡ってNATOとの関係がぎくしゃくしていた最中に、メドベージェフ大統領は報道陣から「ロシアはNATOに加盟したいと考えているのか」と聞かれた。冒頭の発言は、その問いに対する答えである。 「ネバー・セイ・ネバー」とは「絶対にないということはない」という意味。要するに、場合によっては加盟もあり得るという含みの発言だった。 ロシアのNATO非加盟が新しい対立の種に 先日、米国の議会でフィリップ・ゴードン国務次官補が「オバマ政権はロシアのNATO加盟の可能性を否定しない」と発言した。「NATOはヨーロッパのすべての民主国家に開かれるべきである」という原則に立ち、その可能性はあり得るという趣旨の証言をしていた。ただし、加
(2009年7月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 昨年秋、オレグ・デリパスカ氏がロシア政府に数十億ドルの救済融資を求めざるを得なくなった時、一番の懐刀でさえ、彼がもう終わったと思った。多額の債務を抱えたデリパスカ氏は、巨大なアルミニウム事業の利権を政府に引き渡すべきだと助言された。 「(首相のウラジーミル・)プーチンのところへ行って、手を打てと言ったんですよ」。デリパスカ氏の長年のビジネスパートナーはこう話す。「それが唯一の選択肢だった」 デリパスカ氏は好況期に、巷に溢れる低利融資を利用し、大方のオリガルヒよりも多額の借り入れを行ってロシア最大の工業コングロマリット(複合企業)を築き上げた。だが、ロシアの好況を支えていたコモディティー(商品)価格が急落すると、潮目が変わった。 銀行筋は、金属から自動車、建設に至るまで、幅広い事業を手がけるデリパスカ氏の帝国が、最初に政府管理
7月6日、バラク・オバマ大統領とドミトリー・メドベージェフ大統領がロシアの強国としての地位を思い出させる米ロ首脳会談を始めたちょうどその時、ウラジーミル・プーチン首相は地方を回り、ロシアが新たに手にした力を脅かす経済問題の火消しに躍起になっていた。 地方遊説でロシア南部の工場を視察したプーチン首相は、需要急減に見舞われ、生き残りを懸けて戦う工作機械メーカーや自動車メーカーに政府支援の拡大を約束した。 ロシア経済は主要新興国の中で最も急速かつ最も大幅に落ち込む見通しだ。近年、原油価格の高騰を受けて年間7%ペースの成長を続けてきた同国経済は、今年8.5%のマイナス成長に陥ると予想されている。 経済成長の重しとなる不良債権問題 コモディティー(商品)相場急落の影響を悪化させているのが、融資の伸びを停滞させる不良債権問題だ。「信用の流れが回復しない限り、ロシアは経済目標を達成できない。金融
チェルノブイリ原発事故から25年足らずで、欧州の原子力産業が目覚しい復活を遂げている。 エネルギー安全保障や気候変動を巡る懸念を背景に、一部の欧州諸国では過去2~3年間でエネルギー政策が大きく転換した。 欧州連合(EU)の多くの加盟国は、これらの問題を解決する方法として原子炉の建設に期待を寄せている。 フランスとフィンランドはかねて熱心な原子力推進派であり、新たな原発投資の波を牽引してきた。2012年にはフランスのフラマンヴィル3号機とフィンランドのオルキルオト3号機が発電を開始する予定だ。 英国、イタリア、スウェーデンなどが相次ぎ廃止方針を転換 これに対して原子力の復活が最も目覚しいのは、これまで原子力の段階的廃止を決定していたが、今では新たな原子炉に巨額の投資を計画している英国やスウェーデン、イタリアといった国々である。 フランスのニコラ・サルコジ大統領とイタリアのシルヴィ
筆者は、最近のいくつかの小論で、「〈現存した社会主義〉の社会科学」という視角を提示してきた(1)。まだ思いつきの域を出ず、今後練り直していく必要を感じているが、ここでは、そのための準備作業の一つとして、〈現存した社会主義〉の政治学へ向けた試論を、全体主義論再考という文脈の中で提出してみたい。 近年における全体主義論リヴァイヴァルの徴候については、旧稿「社会主義と全体主義」(2)でも触れたが、この傾向はその後も続いている。それにはそれなりの背景があり、決して単純に無視することはできない。そこには、現状を踏まえたある種のリアリティーがあることは確かだからである。 しかし、同時に、リヴァイヴァル論者の議論には、現にソ連その他の社会主義が崩壊したという既成事実を「勝てば官軍」的にとらえ、「勝利」の勢いに乗って、はしゃぎすぎているところがあり、それをそのまま受け取るわけには行かない。このことは、たと
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071012-00000071-san-int カテゴリ[東欧]にしてしまいました。 【モスクワ=遠藤良介】親欧米傾向を強める旧ソ連と東欧の5カ国は10日、リトアニアで開かれたエネルギー問題をめぐる首脳会議で、ロシアを回避してカスピ海産原油を東欧に搬送する“反露石油回廊”を創設することに合意した。5カ国はロシアによる石油・天然ガス価格の引き上げや供給停止といった圧力にさらされており、新たな石油供給ルートを確保してロシアへのエネルギー依存度を低める狙いがある。 合意に署名したのはアゼルバイジャン、グルジア、ウクライナ、ポーランド、リトアニアの5カ国。具体的には、アゼルバイジャン産の原油をグルジア経由でウクライナのオデッサまでタンカー輸送。ウクライナとポーランドの既存パイプラインを連結させるパイプラインを建設し、バルト海ま
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