トナン・大熊肇の(ほぼ文字についての)覚え書きです。 充分に検証していないこともありますので、眉につばをつけてご覧ください。 連絡先:hajimeアットマークtonan.jp(「アットマーク」を「@」に変えてください) 『文字の骨組み』2刷の間違いとご指摘 『文字の骨組み』初刷の間違いとご指摘 『文字の組み方』訂正箇所 拙著『文字の骨組み 字体/甲骨文から常用漢字まで』の第3章資料編に掲げたものですが、紙幅の都合で大きく掲載できなかったので、このブログに掲載します。 現今我が国に行はるる漢字を見るに、其の字形音訓及び用法等に於て整理を要すべきもの甚だ多し。今字形に就きて之を見るに、従来一般の標準たる康煕字典に於ても、まま統一を欠き或は煩冗に失するものあり。此の如きは国民教育上漢字教授の徹底を期すること困難なるのみならず、実際の不便亦尠しとせず。故に現今の漢字に就きて其の統一を図り整理を行ふ
ちょっと心配していたのですが、夜が明けたら「やっぱりね」という感じ。前日のエントリですこしふれた「碍」の字についてです。 「鷹」「碍」など追加して…新常用漢字試案へ一般意見(朝日新聞) この記事の以下の部分。 「碍」の追加希望は20件。「障害」は戦前は「障碍」などと書いたが、「碍」が当用漢字にならなかった戦後、「障害」への書きかえが定着した。しかし近年、「害」は負のイメージが強いとして、行政文書などで「障がい」と表記する自治体が相次いでいる。今回、まぜ書きは不自然で読みづらいので、本来の「碍」を使えるようにすべきだという意見がみられた。 上記のうち、「「障害」は戦前は「障碍」などと書いた」はウソです。戦前から「障害」「障碍」の両方の表記がありました。当用漢字表は制限表ですから、これにより「障害」への書き換えが進んだのはおそらく事実でしょうが、だからといって「障碍」が古く、「障害」が新しいと
@檸檬の家 ブログ更新を停止しています 自己紹介 連絡先: 小川 創生 (motoyuki@bc4.so-net.ne.jp) このブログは個人的な「書きたいこと雑記帳」であり、現在または過去の所属の公式見解等を示すものではありません。 昨年のブログ記事『「障害」は本当に「障碍」「障礙」の当て字なのか?』では、青空文庫における戦前の用例などを元に、「障害」は戦後の当て字ではないと結論付け、戦前に遡っても「障害」が「障碍(礙)」の当て字かどうかは判然としないことを述べた。今回の記事はその続編として、明治の法令における「障害」の用例を示して結論の根拠を補強し、同時に、『戦前は「障害者」ではなく「障碍者」だった』という説にも疑義を唱えておきたい。 明治25年の勅令に「障害」が登場 明治以降の法令をどうやって調査すればよいのか、正直言って素人の私はかなり戸惑った。国立国会図書館「日本法令索引
昨日の官報をチェックしていたところ、法務省令第24号で「祷」と「穹」が無事、人名用漢字に追加されていた(官報号外第93号pp.1-2)。パブリックコメントに送った私(安岡孝一)の意見が採用されて、ちゃんと になったのは、まあよかった、と言っていいのだろう。 しかし、「祷」を出生届に認容する神戸家裁伊丹支部の審判(平18(家)1016号)が2007年2月23日、「穹」を出生届に認容する大阪家裁の審判(平18(家)7444号)が2007年4月10日だから、この子供たちは、もう2歳の誕生日を過ぎているはずだ。しかも、法務省側の即時抗告から大阪高裁決定(2008年3月18日)まで1年もかかった上に、大阪高裁決定から戸籍法施行規則改正(2009年4月30日)までさらに1年あまり。人名用漢字を増やすのは、あまりに骨の折れる作業だ。 これで人名用漢字は985字になったのだけど、さて、世の中の人たちは、ど
新字の「歩」は常用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。旧字の「步」は人名用漢字なので、やはり、子供の名づけに使うことができます。つまり、新字の「歩」も旧字の「步」も、どちらも出生届に書いてOK。でも、新字の方が旧字より画数が多いなんて、めずらしいですね。 昭和21年11月16日に内閣告示された当用漢字表には、旧字の「步」が収録されていました。ただし、当用漢字表のまえがきには「字体と音訓の整理については、調査中である」と書かれていました。当用漢字表の字体は、まだ変更される可能性があったのです。字体の整理をおこなうべく、文部省教科書局国語課は昭和22年7月15日、活字字体整理に関する協議会を発足させました。教科書に用いる活字字体を整理すると同時に、一般社会で用いられる活字字体をも整理しようともくろんだのです。活字字体整理に関する協議会は、昭和22年10月10日に活字字体整理案を国語審
2009/04/17 當山日出夫 新常用漢字のパブリックコメントで、私は、情報の開示をもとめた。それは、いいかえれば、調査データと、審議の議事録を残すことである。 その理由は、「新常用漢字表(仮称)」という公的な漢字集合を決めるにあたって、どのような経緯があったか、残さなければならない、その義務が日本国政府には、また、それを要求する権利が、われわれ(国民)にはある、からである。 映像学部でのデジタルアーカイブ論で、『アーカイブ事典』からの、引用として、フランスのミッテラン大統領のことばを、学生に紹介している。1988年の国際文書館評議会世界大会。 >>>>> すべての国のアーカイブズは過去の行為の軌跡を保存するものであり、同時に現在の問題をも照らし出してくれるものである。過去はそのままにしておくと消え去ってしまうから、記録を残すよう努力をはらわなければならない。記録を処分するかどうか、つま
新常用漢字表へ「鷹」の字の追加を要望する意見書を提出しました 現在、文化庁文化審議会により約30年振りとなる「常用漢字表」の見直しについての審議が行われています。文化庁は、先月16日に「新常用漢字表(仮称)」に関する試案を公表し、幅広く意見を求めるパブリックコメントを実施しており、4月16日(木曜日)まで意見書を受け付けています。 三鷹市では、昨年5月12日に公表された「第1次・字種候補素案」で追加字種候補に含まれていた「鷹」の字が、翌月公表された「第2次・字種候補素案」では除外されました。これを受けて、市では同年11月7日に「鷹」の追加字種候補への復活を求めて、文化庁長官と文化審議会会長宛てに要望書を提出しましたが、依然として「鷹」が除外されているため、今回も改めて「鷹」の追加字種候補への復活を要望する旨の意見書を提出しました(市がこれまで提出した「要望書」と「意見書」の全文は下記の添付
漢字を読み書きする力について、いろいろなことが世上で話題になっているが、それとは無関係に、ある学生が問う。 「がぜん」って、どういう意味ですか? 彼は「すごく」というような意味でふだんよく使っているのだが、ある時、本当の意味とは違っていると感じたのだという。「俄然」という漢字を知らない、あるいは知っていても「俄然」の「俄」の字に「にわか(に)」という意味や訓読みがあることまでは習得していない。そのために、使用される文脈と語の発音とが醸し出すイメージに基づいて生じた用法のようだ。「ガッと飛びつく」の「ガッと」というオノマトペのような副詞の働きをする語との関連も考えられる。 「…然」という副詞、連体詞のたぐいの語は、何かと話題になる(*1)。ここでは、話題にのぼりにくいものも扱いながら、少し見ていこう。 「きぜん」という語も、「キッ」とするという語のイメージと結びつきやすいようだ。学生たちに、
本業の看板屋と非常に密接な関係にある看板文字。主に屋外広告を例にして、一般の人には読む事が困難と思われる文字について書いていきたいと思います。
祖母の白寿のお祝い 先日、満99歳(数えで100歳)になった祖母の白寿のお祝いをやった。 さすがに身体のあちこちに不具合が出てきており、そろそろ本格的に外出も難しくなってきたので祖母と一緒に家族で集まれるのはたぶんこれが最後だろう。 下は0歳から上は99歳までいるので、移動と諸々…
前回記したように、韓国の「美」は他には見られない。なお、「美」という漢語は、中国、韓国そしてベトナムではアメリカのことをも指す。日本では「米」がアメリカを指す略語として頻用され、新聞で「こめ」をカタカナの「コメ」へと追いやった。日本の「米」は、中国での古い訳が残ったもので、異彩を放っている。 上の表では、中国では「中」を含む方式を取り上げた。そこでは90点以上が「優」であるため、単純に見たならば、日韓はインフレ気味だ。点数ごとにそれらしい意味を有する漢字1字ないし漢語1語で評価が出ることが共通しているだけに、ズレがややこしい。また表のように、中国と韓国とでは「良」の点差は平均で20点程度、最大では29点に及んでしまう。 そして何よりのこととして、前述のとおり、「可」は、ベトナムでは84点(さらに小学校ならば90点近く)でもそれが付けられるのだが、韓国ではそれが実に落第点となるのであったのだ
メイリオにおける'jp83'タグのサポートを、同じ「JIS04基準フォント」である小塚明朝Pr6Nと比較してみた。メイリオの'jp83'グリフは、InDesignの字形パネルで見ると375文字ある(下図)。 小塚明朝Pr6Nの'jp83'グリフは381文字だから、メイリオのほうが6文字少ない。といっても単純な引き算ではなく、両者の'jp83'グリフには下図のような違いが存在する。グレー地はサポートなし。 Pr6Nにおける「摯甕灸粂」の標準グリフと'jp83'グリフの差異はわずかなものであり、メイリオではこれらを区別しない方針であると思われる(下図)。 メイリオの「竈→竃」置換は、バグだろう(下図)。'jp78'でやるべき置換が、'jp83'のテーブルに入ってしまっている。 メイリオの「屢→屡」置換は、バグだろう(下図)。JIS X 0213で追加された「屢」を「屡」に置き換える意味はない。
メイリオの「欝」は、なぜ全角じゃないのだろう。FontForgeで見ると、「欝」の幅は2069(下図)。全角の(たとえば「鬱」の)幅は2048だから、それより微妙に値が大きい。 いつもここに載せているような表をInDesignで作っていて、オーバーフローしたので原因を調べたら、この字のせいだった。他に類似の例があるかどうかは確認していない。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く