2015年8月7日(金曜日) はじめに(製造業の覇権を争うドイツとアメリカ) エマニュエル・トッドの最新作「ドイツ帝国が世界を破滅させる」は大変衝撃的な著作である。この過激なタイトルそのものには、私は、とてもついて行けない。しかし、この著作の内容には、逐一、「なるほど」と頷けることが多い。ソ連の崩壊、アメリカの金融崩壊、アラブの春を正確に予測した偉大な歴史学者トッドが、今回は、ドイツが米国、中国と並んで世界の三極体制を形成するに違いないと予言している。今年の4月28日、ブリュッセルで開かれた日本-EU官民合同会議(日-EU BRT:EU-Japan Business Round Table)で、私は、ドイツが自国の製造業の進展に向けて、米国と中国に真っ向から対抗しようとしていることを、EUに駐在する日本政府関係者から改めて知らされた。 もし、世界が金融業で覇権を争うのであれば、それは米国と