地球深部探査船「ちきゅう」で、ドリルなど総額1億3000万円の機器が破損し、海底に沈んだ事故について、海洋研究開発機構は12日、「潮流の変化に対する想定が甘く、安全な海域に逃げ遅れたことが事故につながった」とする調査結果を発表した。 事故は今月1日、紀伊半島沖での掘削作業中に発生した。同機構は当時の作業海域の状況を分析、潮流が安全基準の1・6倍の速さまで急激に強まっていたことがわかった。周辺にいた警戒船が潮流を観測していたが、「ちきゅう」との距離が近すぎて、通報が間に合わなかった。 同機構は今後、潮流の上流3キロ・メートルで警戒船が監視し、潮流が強まった時は「ちきゅう」を退避させるほか、船体とパイプをつなぐ機器を強化するなどの対策を講じるとしている。沈んだ機器を回収するかどうかは、10月に機器の状態を調べたうえで判断する。