「われわれは皆、アメリカ人だ」。二〇〇一年九月十一日に米国をテロが襲った時、フランスの人々はそう声を上げた。そして今、米国をはじめ各国の人が「私はシャルリだ」とテロの標的となった仏紙の名を唱える▼米中枢同時テロを受け、ブッシュ大統領は「テロとの戦争」を宣言し、アフガニスタンに派兵した。さらにテロ支援の脅威などを訴え、イラク戦争も始めた。だが米政府が言う脅威は虚構であった▼恐怖に人々がおびえるその時、情報戦を仕掛け世論を誘導する。今そういう手法を巧みに使うのが、シリアやイラクに支配地を広げたイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」だ▼彼らは情報技術を駆使して貧困と疎外感にあえぐ世界中の若者の憎悪心を煽(あお)り、「聖戦」に誘(いざな)おうとしているが、実はかつての米英の宣伝戦略から学んだ形跡もあるという(ナポリオーニ著『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』文芸春秋)▼フランスの首相は