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ブックマーク / zenn.dev/qnighy (7)

  • Rustのto_string実装パターン

    Rustで値の文字列表現を返すにあたって、 String を直接返すのではなく Display を実装するのが一般的です。この派生パターンとして以下の4つのパターンを紹介します。 基: 文字列化を実装したいとき 文字列化をインターフェースに含めたいとき カスタム文字列化 カスタム文字列化をインターフェースに含めたいとき 基: 文字列化を実装したいとき Displayを実装すると、文字列化できるようになります。 println!, format! などのフォーマット処理から呼べるようになるほか、 .to_string() というヘルパ関数が使えるようになります。 以下はプログラミング言語処理系において、「変数」をあらわす構造体に文字列化を実装する例です。 Playground pub struct Var(String); impl std::fmt::Display for Var {

    Rustのto_string実装パターン
  • Rustのopen traitシステム dyno (RFC3192) を読む

    dyno (RFC3192) はopen traitのための仕組み (言い換えると、trait downcastingの仕組み) をライブラリレベルで実現する提案です。 できることのイメージ 例として、以下のようなトレイトを考えます。 (std::error::Error を説明のために簡略化したものです) // エラー型はこれを実装する pub trait Error { // エラーの文字列表現を取得する fn to_string(&self) -> String; } これを拡張可能トレイトにするのがRFCの目的です。 実際の実装はライブラリレベルで行われていますが、わかりやすくするために「拡張構文として書くならこんな感じ」というイメージを先に説明します。 open traitとしての説明 次のように、定義済みのError traitを拡張できる仕組みであると説明できます。 ⚠️こ

    Rustのopen traitシステム dyno (RFC3192) を読む
  • 構文のことは忘れて、JSON, S式, XMLのデータモデルを比較する

    データをシリアライズするには、独自のフォーマットを定めるよりも、基的な定義済みの構造を組み合わせてフォーマットを作るほうが望ましい場合が多いです。 そのような仕組みとしてJSON, S式, XMLなどが存在しますが、これらは 「基的な構造」として何を選ぶか、という観点からそれぞれに個性を持っています。 記事では、具体的な構文のことは基的に忘れて、各フォーマットが採用するデータモデルの違いに焦点を絞って比較します。 JSON data JSON = Value data Value = -- Compounds Array [Value] | Object (Map String Value) -- Scalars | Null | Boolean Boolean | String String -- UCS-2 | Number IntegerOrFloat -- no NaNs

    構文のことは忘れて、JSON, S式, XMLのデータモデルを比較する
  • Cycloneのソースリポジトリを蘇生してみる (前編)

    Cycloneとは CycloneはRustのリージョン推論の原型のひとつになった実験的なプログラミング言語です。 現在はメンテナンスされていませんが、歴史的な意義があることからCycloneのビルド環境を整備してみました。 (完結するかは未定) ソースの取得 CycloneのWebサイトは生きているので、ソースはCycloneのDownloadページから取得できます。しかしここに不穏な文言があります。 If you use gcc 4, you must get the latest version of Cyclone from SVN (see below). 最新安定版よりも新しい版があること、またgccのバージョンに依存して壊れることが読み取れます。そしてSubversionと書いてあることから嫌な予感がした人もいると思いますが、このリポジトリは既に動いていません。 というわけで

    Cycloneのソースリポジトリを蘇生してみる (前編)
  • ジョークコマンド "dont" を作った

    (ビルド済みのバイナリや各種ディストリビューション向けのパッケージは現時点では存在しません。貢献を歓迎します!) これは何? 名前の通り、指定した処理を実行しないコマンドです。たとえば、 はfooを作成しません。 dontコマンドは必ずしも「何もしない」とは限りません。特定のパターンに対しては、ユーザーの意図を汲んで特別な処理が行われます。いくつかの例をreadmeに書いてあります。全てのパターンを知りたい人はソースコードを参照してください。 なぜこのタイミングで公開したのか エイプリルフールのネタにしようかなと思ったのですが、他のジョークの話題とい合うのもな…… と思ったので早めに公開することにしました。 実装上の工夫 基的には出落ちで終わってしまう話ですが、実装上の工夫がいくつかあるので紹介していきます。 -- の処理 コマンドはコマンドラインパーサーclapを使っており、オプシ

    ジョークコマンド "dont" を作った
  • 「Rustでやると知らないうちに詰む設計」を避けるためのTipsを集めてみる

    とりあえず、よく言われてるやつから埋めていこうと思う。 構造体にライフタイムを持たせない 構造体にライフタイムを持たせるのは「基的に」避けよ、というのが重要なのは間違いないのだけど、これをもう少し実践的な内容にしたい。ちょっと考えてみたけど、こういうのはどうだろうか。 ある関数呼び出しの中でしか絶対に使わない。returnするまでにその構造体のデータは全て破棄される。static変数に退避させることもできない。アロケーションもその関数が面倒を見る。そういう一蓮托生できる関数呼び出しに心当たりはあるか? ある→ 構造体にライフタイムを持たせてもよい。 ない→ ライフタイム禁止。 そう考えてみると、DIとかReduxとかとも通じるところがあるかもしれない。「つべこべ言ってないで全部の責務を一番外側に持っていく」という決断ができるときは構造体ライフタイムが選択肢に入る。

    「Rustでやると知らないうちに詰む設計」を避けるためのTipsを集めてみる
  • CORSの仕様はなぜ複雑なのか

    Webアプリケーションを実装していると高確率で CORS の問題にぶつかります。CORSがどのようなものかはリンクしたMDNなど既存の解説を読むのが手っ取り早いと思いますが、「なぜそのように設計されたのか」という観点での説明はあまり見ないため、昔の資料の記述や現在の仕様からの推測をもとに整理してみました。 CORSとは 現代のWebはドメイン名をもとにした オリジン (Origin) という概念 (RFC 6454) をもとに権限管理とアクセス制御を行っています。その基となるのが以下のルールです。 Same-origin policy (同一生成元ポリシー): 同じオリジンに由来するリソースだけを制御できる。 上記Wikipedia記事によるとSOPの概念は1995年のNetscape 2.02に導入されたのが最初のようです。当時のドキュメンテーションを読む限り、これはウインドウ越しに別

    CORSの仕様はなぜ複雑なのか
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