大学院に入ったばかりの頃、配属された研究室で研修を受けた。 僕は先輩について回って、実験機器を使ってみたり、実験ノートのとり方を教えてもらったりした。 ある日、先輩が先生たちとミーティングをするというので見学させてもらった。 そのときのことは今でもよく覚えている。 最初に、先輩が実験でとれたデータについて説明した。 先輩の堂々とした説明を聞いて、僕はとても感銘を受けた。 ふんふんとうなずきながら、はたして自分はこんなふうに説明できるだろうか(いや、できない)と思っていた。 でも先輩の説明が終わったとき、 「なんか変だね」 と助教さんが言った。そして、 「普通はこうなるはずなんだけど」 と、他のデータとの違いを指摘した。 先輩と僕は他のデータを知らなかったから、そこが変だと気がつかなかった。 なぜこのデータは変なんだろうねと、皆でうんうん考えていると、 「3次元でグラフを描いてみて」 と先生
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