『境界線』(中山七里/NHK出版) デビュー10周年を迎えた2020年、12ヵ月連続で新作を刊行するという前代未聞の離れ業をやってのけた中山七里氏。フィナーレを飾る『境界線』(NHK出版)は、映画公開間近の『護られなかった者たちへ』に続く「宮城県警」シリーズ第2弾だ。前作に続き、いや前作以上に、東日本大震災の爪痕が生々しく描き出されていく。 2018年5月、宮城県警捜査一課刑事・笘篠誠一郎のもとに、「気仙沼の海岸で女性の変死体が発見された」との一報が入る。身分証に記された名は「笘篠奈津美」。7年前、東日本大震災で行方不明になった妻と同じ名前だった。前夜まで生きていたという彼女は、本当に笘篠の妻なのか。身元確認のため、現場に急行した笘篠が目にしたのは、まったく別人の遺体だった。ならば、この女性は何者なのか。なぜ妻の名を騙って生活していたのか。やり場のない怒りを抱えながら、笘篠は捜査にのめりこ
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