命を食する おいしくいただくのが供養 食卓に上がったお魚の目がかわいそうで、食べられない子どもが増えているという。「これは恐ろしいことです」と、青木淳一横浜国立大学名誉教授は嘆く。 食習慣を大まかに形成するのは幼少期からの経験だ。経験の歪曲(わいきょく)と欠如は、食への偏見、無知を生む。その結果が人の命さえ奪うことだってある。青木氏は講演で、ある青年の例を引いた。 まじめで従順な幼少時代。内向的な性格だが、学校では成績優秀。中産階級の家庭で不自由なく育った。 その青年がある日、命について考えた。動物には命がある。自分はこれまで、動物の命を食べ、奪ってきた。なんて醜い人間なんだ。 彼は肉を食べなくなった。それはそれでよし。食を考える大切な行為。彼は、魚と野菜中心の食生活を始めた。 その後、また気付いた。魚にも命があることに。ああ、自分はひどいことをしていたんだ。以降、彼は