私たちヒトや植物を含む真核生物は、どのようにして地球上に誕生したのか──真核生物誕生は、生物学最大の謎ともいわれている。 JAMSTECの井町寛之さんと、産業技術総合研究所の延優さんは、真核生物の祖先に最も近い「アーキア」を深海底の堆積物から培養することに世界で初めて成功。顕微鏡観察や全ゲノム解析によって明らかになった細胞の構造や生理的な機能、遺伝子の特徴などから、真核生物誕生の道筋が見えてきた。 (海と地球の情報誌「Blue Earth」より作成) 「世界初」の培養 「私たちの大切な仲間です」 そういって、井町さんと延さんが紹介するのは、高さ1mほど、筒状のリアクターと呼ばれる装置だ。温度を一定に保つインキュベーターのなかに入っている。 「2006年12月、このリアクターで、深海底から採取した堆積物に含まれる微生物の培養を始めました。そして、私たちは真核生物の祖先に最も近いアーキアを世界