雇用の改善を果たしたアベノミクス 厚生労働省は2021(令和3)年5月、2020(令和2)年度平均の雇用情報を発表した。それによると、有効求人倍率は1.10(前年比0.45ポイント減)、完全失業率は2.9%(同0.6ポイント増)だった。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響をモロに受け、非正規の就業者数が直近より減った形ではあるが、民主党政権の末期(2012年)の有効求人倍率0.8、完全失業率が4.3%と比較すれば、日銀がマクロ経済政策で緩和策を続けた結果、大幅な雇用改善が図られてきたことはあきらかである。筆者が常々言っていることだが、金融政策とは雇用政策である。失業率を下げるということは、経済成長とほぼ同じことなのである。 極論をいえば、政権ができるマクロ経済対策は雇用の確保しかない。それさえできれば及第点なのだ。 アメリカのFRB(米国準備制度理事会)では、インフレ率と失業率は二重の責務