世界的な物価高と円安によって、値上げラッシュが家計を直撃し、収入がなかなか増えない日本人の貧困化は進むばかり。このままでは、大多数だったはずの中間層までもが貧困層に陥る「一億総下流社会」に突入してしまう──経済ジャーナリストの須田慎一郎氏は、新刊『一億総下流社会』(MdN新書)でそう訴える。須田氏が「貧しい国ニッポン」の実態をあぶり出す。【前後編の後編。前編から読む】 * * * 秋葉原といえば、世界的に有名な「電気街」で「オタクの街」であり、特にコロナ前は世界中から観光客が押し寄せていた。そんな秋葉原駅の東側、5分ほど歩いた場所に、看板もかかっていない小さな八百屋がある。 驚くのは、その値段だ。店頭に大きく手書きされたポップには「トウモロコシ 88円」「長ねぎ 98円」「なす5本入 138円」「なす1kg 258円」「ミニトマト 68円」などとある。八百屋の目の前には大手スーパーがあり、