「若い人たちとスポーツで関わりたい」という夢があった 知り合いに大手企業を退職後、母校の大学でヨット部監督になった人がいる。だから知人に「大手ビール会社のキリンビールで執行役員になった人が長崎で野球部の監督をしている」と最初に教えられた時はさして驚くこともなかった。 しかし詳細を聞くにつれ、俄然興味が湧いてきた。当のご本人、栗原邦夫さんは「若い人たちとスポーツで関わりたい」という夢を叶えるため、わざわざキリンを早期退職したというからだ。栗原さんの生まれ育ちは東京で、野球部の監督をしているという長崎はもともと縁もゆかりもない土地ということにも興味が惹かれた。 取材のため空路で長崎に向かうと、栗原さんは自宅のある佐世保から車で空港まで片道一時間をかけて迎えに来てくれた。「あなたのことを取材して記事にしたい」と突然連絡した見ず知らずの筆者にそこまで面倒を見てくれるだけでも恐縮したが、取材のつもり