日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁の任期が、8日で残り半年となる。在任期間は歴代最長の10年近くとなり、交代が確実視されるなか、後任人事に注目が集まっている。 黒田氏は、市場に大量のお金を供給する「異次元緩和」を続け、アベノミクスの中核を担ってきた。急激な円安や物価高など緩和の副作用が重くのしかかる中、日銀総裁人事は日本経済のゆくえに大きく影響する。岸田政権にとって、失敗の許されない判断となる。 政府、日銀周辺で候補として名前が挙がるのは、2人の日銀出身者だ。 一人は副総裁を務める雨宮正佳氏。1979年に入行し、金融政策を立案する中枢の企画部門を長く歩んだ。黒田氏の下で、大量の国債買いやマイナス金利政策といった、これまでに例のない金融緩和策の立案に携わった。 もう一人の候補と目されているのが、雨宮氏の前の副総裁だった現大和総研理事長の中曽宏氏だ。豊富な危機対応の経験から、「緩和の出口を担う