ニュースもワイドショーも新型コロナウイルス騒動で一色。この間に国会でほかに何が起きているのか、なかなか伝わってこないところだ。そんな状況のなか、衆議院では4月16日、検察官の定年を引き上げる『検察庁法改正案』の国会審議が始まった。これに対し、検察の独立性が危ぶまれる事態ではないかと懸念の声があがっている。問題点をあぶり出すべく、元検察官の郷原信郎氏と弁護士の倉持麟太郎氏に事情を聞いた。 検察の人事権を手中に収めたい官邸 言わずもがな、検察は強大な権力を持っている。必要があれば総理大臣を逮捕することもできるし、死刑を求刑することもできる。1976年の『ロッキード事件』では、商社などから多額の賄賂(わいろ)を受け取っていた田中角栄元首相を逮捕し、最近ではカジノなどの総合型リゾート(IR)を巡る収賄罪で、衆議院議員の秋元司被告を追起訴した。起訴権限をほぼ独占しているため、政治の腐敗に切り込むこと