大阪拘置所に勾留されている1人の被告の元に、見知らぬ人々からの手紙が寄せられている。「親の献金でお金がなくなった」「家族が壊れた」。そんな切実な思いをつづったものもある。 受取人は、安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪で起訴された山上徹也被告。差出人は、宗教の信者を親に持つ「宗教2世」の人たちだ。関係者によると、境遇が似た被告に自身の苦しみを伝える内容が目立ち、被告は返信していないものの、気にかけて読んでいるという。 宗教2世の中には、親が信じる教義に翻弄され人生を狂わされた人も多い。京都府立大准教授の横道誠さん(44)もその1人。銃撃事件の前から当事者同士の自助グループを主催し、それぞれの苦悩に向き合ってきた。 「いまだに教義の影響から抜け出せない」 当事者たちが語るトラウマに、自身の経験が重なる。事件を機に2世の存在は広く認識されたかもしれない。ただ、当事者への理解や相談の受け皿づく