これまでとは雰囲気が違う これは明確な「反撃の狼煙」、「次期総裁」への決意にほかならないのではないか——話を聞きながら私は驚いていた。 安倍政権が始まってからというもの長い間苦汁の日々を送ってきたこの男は、これまでも折に触れて政権批判や発言を続けてきた。しかし、この発言はこれまでとは質と重みが違う。 沖縄に深く踏み込んだからだ。 「これしかない、とにかく進めるということだけが解決策だとは思っていない」 石破茂自民党元幹事長は7月2日都内の講演で、沖縄・名護市辺野古への米軍飛行場の移設について、現在の政府方針に公然と疑義を唱えたのだった。ひと言ひと言を区切り、自分に言い聞かせるように聴衆に向けて語った。 辺野古は軟弱地盤の存在が明らかになり工期や工費の問題が浮上しているが、安倍晋三政権は「辺野古移設が唯一の解決策」と一切従来の方針を曲げることはなかった。 安倍首相にとって辺野古移設は、日米同