(2021年8月28日) 三権分立の目的は、統合された強力な権力を望ましからぬものとして権力機構を分散させることであり、立法・行政・司法の各部のチェック・アンド・バランスを適切に保つことで、権力機構の一部門への過度の権力集中を抑制することでもある。 現実には、立法・行政・司法という3部門の中では、得てして行政が肥大化し易く、司法が弱体化しがちである。そこで、「司法の独立」というスローガンが重要な意味をもつ。直接には立法権・行政権からの、そしてその背後にある政治権力からの、「司法の独立」がなくては、法の支配も民主主義政治も人権の擁護も実現し得ない。「司法の独立」あればこそ、数の力を恃む立法府や、強力な権力機構として国民個人と対峙する行政府の専断・暴走を阻むことが可能となる。 司法の独立の核心は、個々の裁判官の独立にある。裁判官は、政治権力からも、社会的同調圧力からも、行政府からも、立法府から