敗戦、高度経済成長、ニュータウンの造成、バブル、地域の高齢化・過疎化、東日本大震災、コロナ禍… 大石始『盆踊りの戦後史』(筑摩選書)を読むと、そんな戦後日本社会やコミュニティの変遷が見えてきます。 コロナ禍によりほとんど盆踊りが開催されなかった2020年の最後に刊行さる本書が問いかけるものとは? まずは「はじめに」をお読みください。 2000年代以降、盆踊りがコミュニティーのなかで果たす役割について、世間の関心が高まったことが二度ほどあった。 ひとつは2011年の東日本大震災、もうひとつは2020年の新型コロナウイルスの感染拡大時だ。東日本大震災ではコミュニティーを結び直す力が見つめ直され、コロナ禍では多くの盆踊りが中止となったことから、かえって「なぜ私たちは盆踊りをやるのか」という基本的な動機が見つめ直された。 盆踊りとひとことで言っても地域によって様式や背景は異なるが、いずれの場合も社