Kenji Shiraishi @Knjshiraishi ついにアメリカのNetflixに火垂るの墓が登場した。初めて見るアメリカ人たちから、どういう反響を引き起こすのだろうか。 pic.x.com/vcciqr0wnk 2024-09-18 08:46:41
たとえば藤子・F・不二雄『エスパー魔美』の1エピソード「くたばれ評論家」に、下記のような有名なくだりがある。 『エスパー魔美』の名言は、批判を忘れておしまいにしようという主張ではない - 法華狼の日記 公表した表現が批判されることを覚悟すべきこと。批判することも反発しかえすことも自由であること。 そうした表現の自由にまつわる主張が、表現者である父親の人格とともに描かれ、この頁だけでも普遍性をもっている。 これは批判についての一般論をそのまま漫画化しただけともいえるが、批判された表現者が批評の権利を認めたことでドラマとして味わいがある。 上記エントリで紹介したように、エピソード全体でも表現と批評をめぐる多様な視点がくみこまれ、有名なくだり以外にも見どころが多い。 さて、都知事選で「ひまそらあかね」名義で立候補した暇な空白氏*1に対して、複数の表現者が"燃やされる"ことへの抵抗を期待して支持を
待望の続編もまさかの大苦戦…『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』より - (c) & TM DC (c) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. IMAX(R) is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories 今年最も期待された映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(全国公開中)は、誰も予測しなかった状況に陥ってしまった。5年前、全世界で10億ドルを売り上げ、オスカーに11部門で候補入りした『ジョーカー』の続編が、批評面でも興行面でも大苦戦している。日本よりひと足早く公開されたアメリカの批評家と観客は、どこに不満を感じたのか。(文/猿渡由紀) 【画像】超イケメン!『ジョーカー2』あの
フェミニスト批評家・北村紗衣さんによる「あなたの感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評」は、北村さんが初めて見た映画の感想をアドリブで話しながら、映画を見る際に注目してほしいポイントを紹介していく連載。取り上げる作品は読者の皆さんからも募集しつつ、北村さんの元指導学生・飯島弘規さんと、担当編集で選定していきます。 連載の中で紹介されていくポイントを押さえておけば、感想が「なんかよかった」「つまんなかった」しか思い浮かばなかった映画やジャンルも、新たな視点で楽しめるかもしれません。 本連載はテキストだけでなく、収録の様子を一部、YouTubeの太田出版チャンネルに公開していきます。記事におさめられていない話も含まれていますので、本記事とあわせてどうぞ。第二回のお題は『猿の惑星』です! ※あらすじ紹介および聞き手は飯島さん、その他は北村さんの発言になります。 ※なお、あらすじ紹介の直後
ライブドアニュース @livedoornews 【皮肉まじり】「まずい。本当に最悪」金メダルの中国最強スイマー・潘展楽も選手村の食事を酷評 news.livedoor.com/article/detail… 「味を足したいと思っても調味料がないんです」、「まぁ非常に地元らしい風味はあって、独特で、独特さがある境地にまで達している感じはしてます」とコメントした。 2024-08-11 10:01:00 リンク ライブドアニュース 「まずい。本当に最悪」金メダル獲得の中国最強スイマーも酷評 選手村の食事情が東京五輪の再評価にも【パリ五輪】 - ライブドアニュース パリ五輪の競泳男子で金メダルを獲得した中国代表の潘展楽。中国の番組で、選手村の食事を「まずい。本当に最悪」と酷評した。「味気ないというか」「味を足したいと思っても調味料がない」と話した 29 users 8
そこそこブクマを集めてた[B! はてな匿名ダイアリー] 日本共産党ってほんまに私有財産を認めない政党なんだなの増田が削除されてた。記事ができてから数時間?てとこかな? 特定のXを引用したのが規約違反と言えばそうなんだろうが、仮にも議員でありその発言が書けないというのは時事問題が書けないことになるので杓子定規に過ぎないかとも思う。 魚拓にもインターネット・アーカイブにもなかったので、自分の端末のキャッシュから可能な限り復元しておく。 また削除される可能性も高いので、すぐ魚拓しておこうと思う。 日本共産党ってほんまに私有財産を認めない政党なんだな今までネタだと思ってたが 私有地の神宮外苑を国民共有の財産にしようとしてるとか https://x.com/jcp_cc/status/1808096911544705295 日本共産党(公式)🌾⚙@jcp_cc #神宮外苑 は国民共有の財産です。
映画を見た後に「なんかよかった」「つまらなかった」という感想しか思い浮かばない人のために、フェミニスト批評家・北村紗衣さんが、初めて見る映画の感想を話しながら注目してほしいポイントを紹介する連載「あなたの感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評」。聞き手を務めるのは、北村さんの元指導学生である飯島弘規さんです。 連載の中で紹介されていくポイントを押さえていけば、今までとは違った視点から映画を楽しんだり、面白い感想を話せたりするようになるかもしれません。 本連載はテキストだけでなく、収録の様子を一部、YouTubeの太田出版チャンネルに公開していきます。記事におさめられていない話も含まれていますので、本記事とあわせてどうぞ。第三回に取り上げるのはクリント・イーストウッド主演の名作『ダーティハリー』です! ※あらすじ紹介および聞き手は飯島さん、その他は北村さんの発言になります。 あらすじ
フェミニスト批評家の北村紗衣さんが、初めて見た映画の感想を話しながら注目してほしいポイントを紹介する連載「あなたの感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評」。聞き手を務めるのは、北村さんの元指導学生である飯島弘規さん(と担当編集)です。 連載の中で紹介されていくポイントを押さえていけば、いままでとは違った視点から映画を楽しんだり、面白い感想を話せたりするようになるかもしれません。なお、北村さんは「思ったことをわりとランダムに、まとまっていない形で発してもよいもの」が感想で、「ある程度まとまった形で作品を見て考えたことを発するもの」が批評だとお考えとのこと。本連載はそのうちの感想を述べていく、というものです。 第八回でご覧いただいたのは、高畑勲監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』です。 ※あらすじ紹介および聞き手は飯島さん(と担当編集)、その他は北村さんの発言になります。 あらすじ 多摩丘陵で
数年前、企業の広告やマーケティングの炎上が、毎週のように起きる時期があった。私はそのうちの幾つかの解説を、炎上広告批評というタイトルで書いた。なにしろネタには困らないし、一つ一つの解説だけではなく、数が集まれば分類・対策も整理できて、面白いコンテンツになるのではないかと思ったのである。目指すは令和の天野祐吉。朝日新聞の連載になる日も遠くはない。 (若者向けに解説しておくと、むかし天野祐吉というコラムニストがいて、広告批評という雑誌を出したり、朝日新聞にCM天気図という連載を持ったりしていた) けっきょく数回書いてやめてしまったのは、もちろん生来の飽き性だからというのもあるし、この路線がとても上手く行って炎上広告の専門家になったら嬉しいかというと別に嬉しくないというのもあった。 最近、Doveの広告が炎上して、炎上広告批評を続けていたらどうなっただろうなとちょっと思った。Doveの広告は、美
村上春樹の作品についてはさまざまな人がさまざまなことを言っているが、ある種の作品がSFの質を帯びているのは疑い得ない。「SFマガジン」が2006年に行ったオールタイムベスト・アンケートでは、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』は国内SF長編48位にランクインしている。 さて今回は筆者が偶然発見した村上によるエリスン『死の鳥』書評を紹介する。氏がその本を「読んでいた」ことそのものは、翻訳家・風間賢二氏のエッセイ集『快楽読書倶楽部』(創拓社)によって熱心なSFファンの間ではこれまでも知られていた。ただ、この記事は風間氏が早川書房の編集者であった時代、喫茶店で原稿の受け渡しをした際に村上が『死の鳥』について言及した、と書いてある程度で、村上自身がエリスンについて書いた文章が存在するとは筆者はまったく知らなかった。また、インターネット上にもこの書評に言及しているサイトが見当たらないので
桜庭一樹『読まれる覚悟』(ちくまプリマー新書) 小説家・桜庭一樹が、小説を発表する上での心構えを綴った新書『読まれる覚悟』(ちくまプリマー新書)を刊行した。 小説は、人に読まれてはじめて完成する表現であるため、多くの人に読んでもらいたいと願うのは小説家の性だろう。一方で、小説が多くの人に読まれれば読まれるほど、誤読や批判が起こるのも避けられない。本書は、そんなときに書き手の心を守り、読む/読まれるという営みをいっそう豊かにしていくための「読まれ方入門」だ。 SNSの登場以降、多くの人々の意見が可視化される中、創作物をめぐる言説もまた目立つ状況となり、作家と批評家の間で論争が起こることもあれば、熱心なファンたちによって筋の通った批評までもが炎上することもある。桜庭自身も発表してきた作品を巡って、さまざまな問題と向き合ってきたという。その経験を踏まえて執筆された本書で、桜庭はどのような考えに達
日本のゲーム批評を集成した「ゲーム批評アンソロジー」でもある一冊新曜社から刊行された『日中韓のゲーム文化論』は、副題に〈東アジア・ゲーム批評〉とあるように、日本、中国、韓国の研究者によるゲーム批評18本を収録した論文集だ。 本書のタイトルを目にした際に、「日中韓」という括りにまず目が向くのは当然だろう。だが本書はそれだけでなく、1980年代から現在(2020年代)までの日本のゲーム批評を集成した「ゲーム批評アンソロジー」である点も大きな特徴だ。この2つの特徴は、本書の成り立ちが深く関係している。 まえがきによると、本書は中国で2020年に出版された日本のゲーム批評アンソロジー『探寻游戏王国里的宝藏──日本游戏批评文』を基盤として、そこに韓国と中国の最新ゲーム研究論文を追加したものだという。具体的には、本書第1部の日本パートに10本、第II部の中国パートに5本、第III部の韓国パートに3本の
音楽について語り合う。そんなこと、久しくやっていない。そもそも、他人に「好きな音楽は何?」とたずねることすら、プライベートを詮索(せんさく)するようで、どうにも、躊躇(ちゅうちょ)してしまうのだ。 音楽を語るといえば、音楽批評の記事も、目にする機会が減った。レコード会社やミュージシャンに忖度(そんたく)せず、作品や音楽作品を価値付けする営みは、ひょっとして絶滅危惧種なのだろうか。 いま、音楽を取り巻く言説の構造が大きく変わっている――。そう語るのは、ポピュラー音楽研究者で、大阪公立大学の増田聡教授だ。音楽語りの現在地について、聞いた。(聞き手・河村能宏) ――ドラマや映画を見て、友達や同僚とあれこれ『良い/悪い』を語ることはあるんですが、音楽においては、「誰かと語り合いたい!」と思えなくなっている自分がいます 「ポップミュージックについては、音楽の量が増えすぎてしまいましたからね。ラウドロ
フェミニスト批評家・北村紗衣さんの新連載「あなたの感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評」を開始します。本連載では、映画を見る際に注目するとよいポイントを、北村さんがいままで見たことがなかった映画の感想を話しながら紹介していきます。 これまであまり見てこなかったジャンルの映画も、「なんかよかった」「つまんなかった」しか感想が思い浮かばない映画も、あるポイントに注目して見ると、これまでと違った感想が思いつくかもしれません。昔懐かしい映画から、聞いたことのない映画まで、北村さんの感想とポイントをお楽しみください。 本連載はテキストだけでなく、収録の様子を一部、YouTubeの太田出版チャンネルに公開していく予定です。記事におさめられていない話も含まれていますので、本記事とあわせてどうぞ! こんにちは。シェイクスピアやフェミニスト批評の研究をしている北村紗衣です。本連載「あなたの感想って
詩学、批評の解剖、書くことについて、映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと、ライターズ・ジャーニー等々、「物語の作り方本」のエッセンスを濃縮した『物語のつむぎ方入門』 数学の公式集ってあるでしょ。よく使う関係式や定数や演算を、コンパクトにまとめたやつ。あれの物語版だと思ってほしい。 「なぜそうなのか」といった証明や由来は最小限にして、エッセンスしか載ってない。なので非常に薄い(なんと61頁!)。もし必要なら、自分で出典に当たってくれとばかりに参考文献だけは充実している。 この61頁に、「読者の興味をどうやって興味を惹くか」の基本的なセオリーがまとめられている。小説、マンガ、映画、演劇、どのジャンルにも共通して、物語を面白くするプロットの作り方がある。そして、そのプロットをどう転がせば、読み手や観客の魂を震わせ、深い感動をもたらすかが紹介されている。 いわば、物語作家の虎の巻なのだが
フェミニスト批評家の北村紗衣さんが、初めて見た映画の感想を話しながら注目してほしいポイントを紹介する連載「あなたの感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評」。聞き手を務めるのは、北村さんの元指導学生である飯島弘規さん(と担当編集)です。 連載の中で紹介されていくポイントを押さえていけば、いままでとは違った視点から映画を楽しんだり、面白い感想を話せたりするようになるかもしれません。なお、北村さんは「思ったことをわりとランダムに、まとまっていない形で発してもよいもの」が感想で、「ある程度まとまった形で作品を見て考えたことを発するもの」が批評だとお考えとのこと。本連載はそのうちの感想を述べていく、というものです。 第七回でご覧いただいたのは、ナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』です。 ※あらすじ紹介および聞き手は飯島さん(と担当編集)、その他は北村さんの発言になります。 あらすじ 韓国の村
フェミニスト批評家の北村紗衣さんが、初めて見た映画の感想を話しながら注目してほしいポイントを紹介する連載「あなたの感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評」。聞き手を務めるのは、北村さんの元指導学生である飯島弘規さん(と担当編集)です。 連載の中で紹介されていくポイントを押さえていけば、いままでとは違った視点から映画を楽しんだり、面白い感想を話せたりするようになるかもしれません。なお、北村さんは「思ったことをわりとランダムに、まとまっていない形で発してもよいもの」が感想で、「ある程度まとまった形で作品を見て考えたことを発するもの」が批評だとお考えとのこと。本連載はそのうちの感想を述べていく、というものです。 本連載はテキストだけでなく、収録の様子を一部、YouTubeの太田出版チャンネルに公開する予定です。記事におさめられていない話も含まれていますので、本記事とあわせてどうぞ。 第四
『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(以下『マギレコ』)というアプリゲームがある。いや、あった。 2017年8月22日よりソニーミュージック傘下のアニプレックスとゲーム開発会社・f4samuraiとの協業体制でサービスを開始し、ゲーム内ムービーの制作は『魔法少女まどか☆マギカ』(以下『まどマギ』)から引き続き、アニメーション制作会社・シャフトが担当した。 メインストーリーは大きく第1部「幸福の魔女編」と第2部「終結の百禍編」に分かれている。2020年から2022年にかけては、第1部の内容をベースに同じくシャフト制作による『マギレコ』のテレビシリーズ(以下アニメ版)も放送され、『まどマギ』がアート方面からも評価される一因となった「魔女空間」デザイン担当の劇団イヌカレー・泥犬が、総監督という立場で関わったことも話題となった。 そして2024年7月31日にアプリ本体が、約7年間の歴史に
昨日から今朝にかけて、ゲンロンの三宅香帆さん・松田樹さん・森脇透青さん・植田将暉さんの批評イベントのアーカイブを見た。感想はいろいろある中でこれを最初に言うのは自意識過剰かもしれないと思うんだけど、マジでこの批評の文脈で私の名前を出されるのが意味わかんないなと思いました。以下はその「名前の出され方」に関する殴り書きです。イベント全体の感想に関しては特に言及していません。 shirasu.io ・2時間30分前後くらい、「女性的な文体の文芸批評家が文芸誌に集まっており、男性的な書き手はコンテンツに言及せず哲学の方にいる。文学/哲学の書き手が交差しない」という森脇さんが提起した文脈で、前者として植田さんが私と水上文さんの名前を挙げたと思います。そこで植田さんが「高島さんは文芸誌に書いてるのか知らないですけど……」と言っていて、いやそこが分からないならその文脈で名前を出す意味もなくなりますよね?
『マッドマックス:フュリオサ』75点(100点満点中) FURIOSA: A MAD MAX SAGA 24年オーストラリア/アメリカ 148分 2024/05/31公開 ワーナー・ブラザース映画 PG12 監督:ジョージ・ミラー 出演:アニャ・テイラー=ジョイ クリス・ヘムズワース アリーラ・ブラウン ≪『怒りのデス・ロード』から一転、スカッと復讐劇、ではない≫ ジョージ・ミラー監督による『マッド・マックス』シリーズの30年ぶりの復活となった前作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(17年)は、デジタル時代にガチスタントとアナログスペクタクル、電車道の単純ストーリーによる一点突破型エンタメ映画として、世界中で大ヒットとなった。 その実質的な主人公、隻腕の女戦士フュリオサの若き日の15年間を描いたのがこの最新作『マッドマックス:フュリオサ』。シャーリーズ・セロンからアニャ・テイラー=ジョ
フランシス・フォード・コッポラ監督の最新作となる映画「メガロポリス」の予告編で、AIが生成した「偽のレビューコメント」が使用されていたことが明らかになり、予告編の制作を担当していたエディ・イーガン氏がマーケティングチームから外されるという事態が起きました。 'Megalopolis' Marketing Consultant's Lionsgate Ties Cut Over Trailer Debacle https://deadline.com/2024/08/megalopolis-marketing-consultant-lionsgate-ties-cut-trailer-debacle-1236049223/ AI was responsible for the fake quotes in the Megalopolis trailer - The Verge https:/
※本記事は、シャフト批評合同誌『もにも~ど 2』(2024)所収の論考を一部加筆・修正のうえ、転載したものです。 Drain-Images Chase:About the Direction of Anime by SHAFT|Animmony 文:あにもに 自分の思考乃至動揺の中心部に、ぽっかりと暗い穴、颱風の眼のようなものがあって、さまざまな相反する判断が敲ちあって生れる筈の思考の魚が、生れかけるや否や途端にその穴、その眼の中へ吸い込まれてゆくように思われた。もしその穴、その颱風の眼をそこだけ切り取って博物館に陳列するとしたら、それには、人間的、という符牒のような札がかけられるかもしれない。 堀田善衛『広場の孤独』 はじめに いくぶん唐突な問いではあるが、「シャフト演出」と聞いたとき、ただちに連想するものと言えば何だろうか。 人によってはキャラクターを非解剖学的な角度で振り向かせる「シ
2024年8月30日に公開された山田尚子監督の最新作『きみの色』について、当サイト管理人が舞台となった長崎の歴史を踏まえ、変えられない出来事の意味を書き換える「パラフレーズ」という観点から論じる。なお、本記事には『きみの色』の結末に関する記述が含まれる。 The Paraphrasology of “Salut”: Nagasaki, Kyoto Animation, and Kimi no Iro|teramat 文:てらまっと 坂の上にある虹光女子高等学校の聖堂に朝陽が射しこんでいた。1 一瞬、あたり一面が強烈に明るく淡いピンク色の光に包まれた。まるで虹が落ちてきたような、美しいと言っていい情景だった。2 かれこれ10年ほど前、原爆に関するフィールドワークの手伝いのために何度か長崎を訪れたことがある。平和公園や爆心地公園、長崎原爆資料館、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館といった公式の関
Mercure des Artsに投稿された「ガールズバンドクライ」に対する批評記事「仁菜は誰に中指を立てるべきだったのか――《ガールズバンドクライ》について」を読んだ。記事の筆者はnoirse氏。 私には批評の作法はわからないが、思うところがあって本批評の感想を書いてみたいと思う。 ●本批評の主旨本批評は「ガールズバンドクライ」(以下、「ガルクラ」)に「根本的な欠陥」があるとしており、それは ・アニメ制作陣の「男たち」が自分たちの好みや「反逆の神話」「敗者の美学」といったノスタルジックなロックのイメージを、若い女性キャラクターに投影し押し付けていること ・作品内では女性同士の対立が主に描かれることで、「男たち」に向かうべき仁菜の怒りの矛先が意図的にズラされていること だとしている。そして仁菜が中指を立てるべき真の相手がいるとすればそれは制作陣の「男たち」であり「仁菜が怒り泣き叫んでいるの
フェミニスト批評家の北村紗衣さんが、初めて見た映画の感想を話しながら注目してほしいポイントを紹介する連載「あなたの感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評」。聞き手を務めるのは、北村さんの元指導学生である飯島弘規さん(と担当編集)です。 連載の中で紹介されていくポイントを押さえていけば、いままでとは違った視点から映画を楽しんだり、面白い感想を話せたりするようになるかもしれません。なお、北村さんは「思ったことをわりとランダムに、まとまっていない形で発してもよいもの」が感想で、「ある程度まとまった形で作品を見て考えたことを発するもの」が批評だとお考えとのこと。本連載はそのうちの感想を述べていく、というものです。 第五回でご覧いただいたのは、ロマンティックコメディ映画『月の輝く夜に』(1987年)です。複数のアカデミー賞も受賞しているこの映画を初めて見た北村さんの感想は……? ※あらすじ紹
人間横丁のインタビューが掲載されるほか、十九人ゆッちゃんw、鈴木ジェロニモ、にぼしいわし・いわし、XXCLUB大島、破壊ありがとう・森もり、ガクヅケ木田、かもめんたる・う大、ツンツクツン万博タフガイ、どくさいスイッチ企画が登場。「大喜利とのつきあい方」「『ラヴィット!』に見るテレビと芸人と視聴者の関係性」「推し文化とお笑いオタク――『ワーキャー』の何が悪いのか?」といった論考も収録される。 「ユリイカ」2024年12月号収録内容インタビュー:人間横丁笑いを受け取る身体:十九人ゆッちゃんw / 鈴木ジェロニモ / にぼしいわし・いわし論考〈1〉メディアにおける足場:鈴木亘「大喜利とのつきあい方」 / 太田省一「“ポストひな壇芸人”は、いかにして可能なのか?――「ひな壇という社会」の歴史と現在」 / 戸部田誠「『ラヴィット!』に見るテレビと芸人と視聴者の関係性」ヒエラルキーの散らばり:XXCL
フェミニスト批評家の北村紗衣さんが、初めて見た映画の感想を話しながら注目してほしいポイントを紹介する連載「あなたの感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評」。聞き手を務めるのは、北村さんの元指導学生である飯島弘規さん(と担当編集)です。 連載の中で紹介されていくポイントを押さえていけば、いままでとは違った視点から映画を楽しんだり、面白い感想を話せたりするようになるかもしれません。なお、北村さんは「思ったことをわりとランダムに、まとまっていない形で発してもよいもの」が感想で、「ある程度まとまった形で作品を見て考えたことを発するもの」が批評だとお考えとのこと。本連載はそのうちの感想を述べていく、というものです。 第六回でご覧いただいたのは、ラッパー・エミネムが、自身をモデルとした主人公を演じた映画『8 Mile』(2002年)です。 ※あらすじ紹介および聞き手は飯島さん(と担当編集)、そ
記事:じんぶん堂企画室 浅田彰さん(左)と柄谷さん。スペインのポルトボーに思想家ベンヤミンの墓を訪ねた=1993年、高木崇雄さん撮影 書籍情報はこちら ――1980年代後半から90年代の柄谷さんの活動についてお聞きしていきます。ソ連の崩壊や阪神淡路大震災をはじめ国内外で歴史的な動乱期ですが、柄谷さんの周囲でも雑誌を立ち上げたり、湾岸戦争反対の署名の運動をしたりと、様々な出来事がめまぐるしく起きている時期です。盟友だった作家の中上健次が亡くなったのも92年でした。 柄谷 いまから思うと、それまでやってきたことに始末をつけていった時期でした。一口でいうと、文学から決別する方向に向かったのです。 一方で、この時期は、まったく新しいことを始めたときでもあった。それには時代の変化が大きかったと思う。冷戦構造の崩壊、湾岸戦争勃発などが重なったときに、それを実感しました。それで行動的になった、ともといえ
<児童人身売買の闇に切り込む一方で、陰謀説との関連が指摘され批判を浴びた問題作> 「この場所へ来るのは、魔法を見るためです」――ピンストライプのスーツで決めた女優ニコール・キッドマンが、そうつぶやいて向かった先は大手映画館チェーンAMCの素敵な劇場。新型コロナのパンデミックで閑古鳥の鳴いた劇場に客を呼び戻すべく、AMCが今も上映前に流しているCMの決めぜりふだ。 【動画】映画『サウンド・オブ・フリーダム』予告編 実際、私たちは魔法を見たのかもしれない。アメリカで7月4日の独立記念日に公開されるハリウッド映画と言えば、たいていは現実逃避の娯楽超大作。だが『サウンド・オブ・フリーダム』(監督アレハンドロ・モンテベルデ)は真逆のシリアスな作品なのに大ヒットし、初日だけで1400万ドル、最初の2週間ほどでなんと1億ドルも稼いだ。 この話題作は2018年に完成し、FOXが翌年の公開を予定していたが、
2024年にもっとも勇気づけられた出来事の一つに、三宅香帆さんのブレイクがある。昔から(一方的に)みていた同世代のひとが活躍するのは、とても嬉しいことだ。 批評や学問に明るい友人と話していて、三宅さんの話になることは多い。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』はなぜあんなに読まれているのか? そもそも、三宅香帆の文章は批評といえるのか? 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の感想は世の中にインフレしてるし、いまさら自分が書くべき文章もないと思うが、正月休みで時間もあるということを理由に、私なりに「好き」を「言語化」しておこうと思う。 書きはじめたらいささか長い文章になってしまったが、私は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読み進めた結果、批評における「匿名性/固有名」の問題について考えるにいたった。どういうことか、は最後までぜひ読んでいただきたい。 また、再来週には京都で『批評
2024年12月1日に開催された、文学フリマ東京39に行ってきた。 文学フリマ初のビッグサイト開催であるが、それを理由に行ったわけではない。 ここ数年文フリからはご無沙汰で、今回も当初は行く予定がなかった。TLから、近く文フリがあるのだなあとは思ったが、いつやるのかもそれほど把握していなかった。 ところが、前日の夜、急に塚田君から「明日、文フリに行く」旨のメッセージが入っていたのである。実のところ、そのメッセージを読んだ時でさえ、そんな急に言われてもなあ、という感じだったのだが、10年近く会っていなかったことを思うと、このチャンスを逃すとまた当分会えないのでは、ということで行くことにしたのである。 全然行くつもりのなかった文学フリマとはいえ、いざ行くとなれば、寄りたいところは色々とあがってくるもので、それでも回|れたのは最低限の範囲でしないのだが、いくつか買った本があるので、感想をボチボチ
ネットサーフィンをする上で欠かせないのがWebブラウザなのですが、これらは非常に数多く存在しています。 現在ではGoogle Chromeが一強という状態ではあるのですが、知名度では劣っていても使い勝手の面ではより優れているブラウザは無数に存在しています。 そこで、この記事では筆者が触ったことのあるブラウザを批評していきたいと思います。 Chrome系ブラウザの批評まとめ Google Chrome Microsoft Edge Opera Vivaldi Sleipnir Brave SRWare Iron Firefox系ブラウザ批評まとめ Firefox Waterfox Basilisk Pale Moon Lunascape Orion Floorp Chrome系ブラウザの批評まとめ 現在のWebブラウザの多くはChromeに採用されているレンダリングエンジンであるBlinkを
御茶ノ水にあるディスクユニオンの古本コーナーで、たまたま『季刊 ジャズ批評 28号』を見つけて買ってみた。現在も続くリスナー向けのジャズ専門誌だが僕の手元にあるのは1978年1月28日に出版された古い時代のものだ。 二つある特集のひとつには「ジャズをとりまくブラック・アメリカの周辺」と書かれている。この特集の冒頭に掲載されたジャーナリストの長田衛によるコラム「「アメリカ黒人」逆差別理論の欺瞞について:本誌27号久保田二郎氏の発言にふれて」は、現代アメリカの「ジャズ」を聴いている僕にとって今の関心にぴったりハマる内容だった。 コラムは遡ること1968年4月初旬。マーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺された直後のブラック・パンサー党本拠地として知られるカリフォルニア州オークランドに取材のため何度か訪れたことがあるという長田本人の回顧からはじまる。 白人警官に襲撃射殺されたパンサー党の若手党員ボ
せなけいこが亡くなった。 www.jiji.com 絵本を読む環境がほとんどなかったぼく自身は、小さい頃せなの絵本には『ねないこだれだ』にしか出会えなかった。 ねないこだれだ (いやだいやだの絵本) 作者:せなけいこ 株式会社 福音館書店 Amazon 自分に子どもができてからは、『じゃあじゃあ びりびり』『いやだいやだの絵本』など、かなりお世話になった。 せなの絵本を「しつけ」としてとらえることがある。「夜中まで起きているとお化けが出てきますよ」という言説の具現化として『ねないこだれだ』を考える、というのはその典型例だろう。 こうしたせな観に対して、長谷川摂子は次のような批判を加える。 〔せなの絵本を〕しつけの本という性格づけをする向きもあるようだが、その見方は一面的すぎる。世の中の母親というものは、毎日子どもをしかり、なだめ、着替えや食事、睡眠と、暮らしの流れに子どもをのせていかなけれ
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