みなさんは『攻殻機動隊』と聞いてどれを思い浮かべるでしょうか。押井守の最初の劇場版でしょうか、それとも神山健治のSACシリーズでしょうか。ハリウッドの実写版を思い出す方もおられるかもしれません。 しかしながら、私にとっての”攻殻”は士郎正宗による漫画『攻殻機動隊』なのです。はじめてこの漫画を読んだときは、世にこれほどまでに面白い漫画が存在するのかと震えました。未だに私にとっての漫画の最高傑作です。しかし、この原作漫画はアニメシリーズと比較して、残念ながら知名度が高いとはいえません。 その理由の一つに、非常に難解なストーリー展開があると思います。一読しただけでは物語の把握は困難で、注釈が無数にあって、そして理解を読者に求めます。 この作品は、画に描いてあることを解説してくれない漫画なのです。読者は画とセリフから能動的に意味を読み取り、物語を自分で組み立てなければなりません。 もちろんそういっ