ネット上の誹謗中傷が鳴り止まない。直近でいえば、東京五輪をめぐり、特定の選手に対するバッシングが相次いだことは記憶に新しい。 こうした「匿名の刃」は、有名人だけでなく、一般人にも向けられ、みんなで寄ってたかって、個人を追い込んでいく。 加害者たちは、一種の「集団」となることもある。 その一つが、サイバー空間で個人情報をさらすなどの悪質行為をおこなっている「恒心教」(こうしんきょう)と呼ばれるネットワークだ。 標的の1人となった法科大学院生、石渡貴洋さんは、住所や電話番号だけでなく、アダルトビデオの購入履歴まで暴露された。 今年春、石渡さんは、被害実態を伝えたいと実名で取材に応じた。彼のインタビュー記事(2021年4月26日掲載)を再び掲載する。 ●現実のものとは思えない「混沌」とした感情になった 2019年10月17日夜、石渡さんは都内の自宅に1人でいた。疲れていたが、目の前のノートPCか