人はいつか死ぬ。それだけは確実に決まっている。 そして、この国だっていつか終わる。終わりがあると知っていて、人はそのことを見て見ぬふりをして、あるいは忘却して日々を過ごしている。 しかしそのことを忘れていたとしても、人の終わりは突然訪れることがある。そういう理不尽な終わりが身近に襲ってくることに、普通の人は耐えられない。だから、また忘れる。 そんな理不尽に人は耐え続けることができるだろうか。そんなことに耐えながら、1分、1秒でも長く生きることに意味はあるだろうか。 終わりがあると知りながら、それでも1分・1秒でも長く生き永らえる意味はあるだろうか。 新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』は、それに応える作品だ。生きる意味はあるかとの質問に答えるのではない、そう思う気持ちに「応える」作品だ。 日本列島は人の力ではどうしようもないほどに自然災害が多い。いつ何どき、理不尽な終わりがどこで襲ってく