東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数この記事の写真をすべて見る ※写真はイメージ(gettyimages) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * 中国湖北省武漢で発生した新型コロナウイルスが世界中に混乱を引き起こしている。 最初の患者が確認されたのは昨年12月初旬。月末に武漢市衛生健康委員会より緊急通知が出され、広く知られるようになった。 年が明けて1月9日には最初の死者が出て、15日には日本でも最初の患者発生が確認され