1960年8月10日生まれ。演出家。日本大学芸術学部卒。大学在学中、『名探偵ホームズ』の脚本に参加。その後『NEMO』プロジェクトに演出の補佐役として携わる。『名犬ラッシー』で監督デビュー。代表作に『BLACK LAGOON』、劇場『アリーテ姫』、劇場『マイマイ新子と千年の魔法』等。
ノイタミナで放送されていた「四畳半神話大系」が第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の大賞を受賞しました。優秀賞は映画「マイマイ新子と千年の魔法」と「カラフル」、短編アニメ「わからないブタ」と「フミコの告白」の4作品が受賞。奨励賞には3Dマペットアニメの「THE WONDER HOSPITAL」が選ばれました。 各作品、原画やイメージボードなどの展示が行われているほか、それぞれ会場にて映像上映が行われています。 詳細は以下から。 アニメーション部門の大賞はノイタミナで放送された「四畳半神話大系」。 イメージボードや絵コンテが展示されていました。 台本、第1話の後半あたりの部分ですね。 小津の悪魔的な表情が生き生きと描かれている原画。 本作のヒロイン、明石さん。 とてもクールな女性ですが、蛾を見ると「ぎょえええ!」と普段のイメージが崩壊するような声をあげます。 こちらはキャラクター設
はじめに 本日5/10、PCゲームの「Dies irae」が5月9日にクラウドファンティングを利用した アニメ製作のプロジェクトを立ち上げ、目標金額の3000万円に対して 1日で入金待ちの金額を合わせて実質的に3000万円を突破した事を知り驚いた。 参考:『Dies irae』アニメ化プロジェクト ※ブログ更新中の5/10 19:30の時点で、 76万5千円の入金と3521万円の入金待ちとなっており、 合計で約3597万円の資金提供がされている。 私はこのゲームの事を全く知らなかったが、 たった1日で3000万以上が受け手によって資金提供されたことに、 この作品が強く支持されていると強く感じた。 この事を知って、私は日本のアニメにとって クラウドファンディングの存在がより大きくなると感じ、 一方でファンと作品の関係もまた変容する可能性が起こると感じた。 今回はクラウドファンディングについて
劇場アニメ『魔女の宅急便』 どうも、管理人のタイプ・あ~るです。 さて本日、金曜ロードショーで劇場アニメ『魔女の宅急便』が放送されます。誰もがよく知る宮崎駿監督の人気作品なんですけど、実は「もともと宮崎さんが監督する予定じゃなかった」ということをご存知でしょうか? 宮崎監督はそれまで(『ナウシカ』や『ラピュタ』や『トトロ』など)自分で考えたオリジナル作品を作っていたのですが、『魔女の宅急便』は初めて外部から持ち込まれた原作付きの企画で、ヤマト運輸がタイアップすることも最初から決まっていたそうです。 ただし、角野栄子さんが書いた同名の児童文学のアニメ化ということでジブリ側は乗り気だったものの、当時は『となりのトトロ』と『火垂るの墓』の制作が始まったばかりで、宮崎監督も高畑監督も時間がとれません。 そこで宮崎さんはプロデューサーとして参加し、別の若手スタッフが制作現場を担当するという方向で話が
映画「この世界の片隅に」がヒットを続けている。しかも様々な賞を総なめだ。 自分は大変幸いなことに、公開後の割と早い時期に片渕須直監督のインタビューという仕事をすることができた。インタビューを手配したY中さんに感謝である。 「この世界の片隅に」は、一次資料の塊だ アニメーション映画「この世界の片隅に」片渕須直監督(前編)(日経ビジネスオンライン 2016年12月8日) 「本来は、アニメは1人で作れるものです」 アニメーション映画「この世界の片隅に」片渕須直監督(後編)(日経ビジネスオンライン 2016年12月9日) 私は、「この世界の片隅に」は単なる映画の傑作ではなく、文化史的な事件だと思っている。 決して誇張ではない。この映画により、私達は70年昔の戦争を、今と地続きの“そこにあった/そこにある現実”として改めて認識しなおすことになったのだから。 もうあの戦争が、「いつかどこかであった、自
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』ティザービジュアル - (C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 2016年11月に公開されロングランヒットを記録したアニメーション映画『この世界の片隅に』に、約30分の新カットを追加した別バージョンが、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』のタイトルで今年12月より公開される。 【動画】新規場面約30分追加!『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』特報 こうの史代の漫画に基づく『この世界の片隅に』は、昭和19(1944)年、広島県呉に嫁いだすずが、夫・周作とその家族と共に戦禍にのまれていく物語。すずの声をのんが担当し、『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)などの片渕須直がメガホンを取った。200万人を動員し、ソフトの発売や配信を経た今もなお、600日以上にわたって上映されており、7月15日よりTBS系日曜劇場枠で松本穂香
一般的には悲惨な戦争体験の新しい表現として評判のこの映画だがガチ左翼、とくに朝鮮シンパにはすこぶる評判が悪い そもそもこうの史代の「夕凪の街 桜の国」が日本人が被害者ぶってる戦争体験だけ美化されてるニダとかなんとかで受けが悪く、 こうのが「この国に生まれながらこの国のことが嫌いな人たちがいるようです」みたいなことを口走ったおかげでド極左に敵視されてたようだ 「この世界の〜」原作では例の太極旗のくだりでこうの自身が批判に落とし前をつけたようだが、今回の映画版ではそのへんをわりとサラッとやってしまったのがいたく朝鮮シンパの気に食わないらしい 片渕須直監督の「あの場面ではすずさんに唐突に国家を背負わせる必要もなかったのでは〜」的な発言も心象が悪いらしい そもそも呉みたいな軍都に住んでて無垢にひたむきに生活を営み、彼らの産業が植民地の三国人どもを抑圧してることを見ないようにしてるようなほんわかし
第16回:ジブリのその先の到達点! のん主演「この世界の片隅に」ドキュメント・レビュー汐留ホールでゼロ号試写が終わったのは、9月9日の昼過ぎ。それは、片渕須直監督の6年越しの悲願が叶い、ようやく「映画」となって世に送り出される瞬間だった。深く長い余韻を残す作品だ。さまざまな感情が呼び起こされる。温もり。郷愁。ときめき。悲しみ。断念。恐怖。怒り。焦燥。安らぎ。そして希望――。広島県を舞台とするアニメーション映画「この世界の片隅に」は、昭和8年の暮れで幕を開け、ごく普通の少女すずの成長を追い、やがて太平洋戦争が始まる。「ありゃあ」「弱ったねえ」…広島の方言を愛らしく発するすずを演じた、のん(本名・能年玲奈)の声が絶品だ。昭和18年に軍港の町・呉へと嫁いだすずを中心に、戦時下のごく普通の暮らしが丹念に、テンポよく積み重ねられていく。物資は徐々に欠乏していったものの、思いの外、のどかさが保たれてい
ちなみに、本編に盛り込めなかった一部エピソードを追加した、いわゆる「長尺版」に関しては、今回の修正とは別件となっています。気にされてる方がいらっしゃいますし、今回の修正を加えたバージョンの意義にも触れられているので、長尺版関係のツイートも出しておきます。 「長尺版」に関するツイート 片渕須直 @katabuchi_sunao ①『この世界の片隅に』DVD&BD、アマゾンなどで「監督の本来のプランどおりの長尺化が実現できていない」という理由で☆を少なめに入れておられる方もおられるようですが、ありがたいお声であり、しかしごめんなさい。今回発売されるのはそれとは別のもの、昨年11月12日以来劇場公開されて→ 2017-09-14 00:47:01
「長い道」「夕凪の街 桜の国」などで知られる、こうの史代のコミックをアニメ化したドラマ。戦時中の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ少女が戦禍の激しくなる中で懸命に生きていこうとする姿を追い掛ける。監督にテレビアニメ「BLACK LAGOON」シリーズや『マイマイ新子と千年の魔法』などの片渕須直、アニメーション制作にテレビアニメ「坂道のアポロン」や「てーきゅう」シリーズなどのMAPPAが担当。市井の生活を壊していく戦争の恐ろしさを痛感する。 (C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 作品情報:http://www.cinematoday.jp/movie/T0020182 公式サイト:http://konosekai.jp/ 配給:東京テアトル
※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。 平成から令和へと時代が移り変わる中で、注目アニメへの時評を通じて現代の風景を切り取ろうという連載シリーズ「平成後の世界のためのリ・アニメイト」。 久々の更新となる今回は、昨年発売されてコアなゲームファンの間で大きな話題を呼び、PlayStation用ゲーム「高機動幻想ガンバレードマーチ」以来20年ぶりにゲームとして星雲賞にノミネートしたPlayStation 4用ゲーム「十三機兵防衛圏」を、3回に分けて徹底批評! 大きく時代が変わる中でリリースされた注目の1本を、中川大地が一刀両断する。 (ネタバレも多いので、あらかじめ了承のうえで読み進めていただきたい。) 2019年下半期のアニメ映画状況──世界が変わる前の風景 平成後の現代日本に降
こんにちは!マグロ部編集部です。 いきなりですが、「何か新しくて、便利なものが欲しいな~」と一瞬でも思ったことのあるそこのあなた、必見です。今回は"まだ世の中にないアイデアを買うことができる"仕組み、クラウドファンディングについて世界一わかりやすく紹介します! 最近よく「クラウドファンディング」って言葉を耳にしますが、ネットで調べても難しい言葉ばかり......。「クラウドファンディングって結局何だろう?」と思った私は、クラウドファンディングのプロ、木曽(きそ)さんを訪ね、いろいろと教えてもらいました。 木曽さんは、Makuake(マクアケ)というクラウドファンディングを運営する会社で、お金を集めたいという企画者の企画を成功させるために全面的にサポートをする、キュレーターというお仕事をされています! クラウドファンディングとは「誰かのやりたいことにお金を払って支援する」こと ー 本日はよろ
第19回でも取りあげた(https://anime.eiga.com/news/column/hikawa_rekishi/109350/ )富野由悠季監督の「劇場版 ガンダム Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイター」が公開された。11月29日からの限定上映に加え、配信でもレンタル・購入が可能となった。劇場では「すごく気になったこと」があったため、予約したパッケージ到着を待たず、すぐ確認できる状況となって大変助かった。「気になったこと」とは物語内容ではない。カットとカットをつなぐ「編集点」の特徴だ。それと「フルアニメーション」と「リミテッドアニメーション」という古典的な分類に、大きな関係があるのでは、と思ったのだ。 さっそく「劇場版Gレコ」を自宅のゆったりした環境で再生し、映像の流れを検証してみた。やはり思ったとおりだった。それは「カットが切り替わる編集点で、新しいカットの1コマ目、
かるび(@karub_imalive)です。 【2017年12月9日最終更新】 話題のアニメ映画「この世界の片隅に」を見てきました。制作費の大半を賄ったクラウドファンディングや、女優として再起をかける「のん」が主人公のすず役の声優を務めたことなど、口コミで話題が広がった作品です。初日に行ってきたのですが・・・ 驚いたのは、なんと終演後、フツーのシネコンなのに会場内から自然発生的に拍手が出てきたこと!その後、パンフレット購入に長蛇の列ができるなど、見終わった後のお客さんの反応や熱量も抜群でした。 早速、以下感想レポートを書いてみたいと思います。 ※後半部分は、ネタバレ部分をかなり含みますので、何卒ご容赦下さい。 1.映画の基本情報 2.主要登場人物とキャスト 3.ラスト・結末までの詳細なあらすじ(※ネタバレ注意) 4.映画の見どころや感想(※ネタバレ含) 4-1.のん演じる「すず」が意外にも
以前に紹介した片渕須直監督コラムは、次の回もオーラルヒストリーと史実との関連性をとりあげていた。ふたたび興味深い部分を引用させてもらう。 WEBアニメスタイル | β運動の岸辺で[片渕須直]第49回 誰だって、1ヶ所くらいは勝ちたい気持ちあるじゃん 絵コンテで背景の場所があいまいになっていたところには、思いつく範囲で実在の場所を描きたかった。沼袋から見える中野方向は家がどれくらい焼けてるのだろうか、と戦災図をなめ回したりもした。ついつい、この辺では水が見えるといいだろうなあ、などと不忍の池のほとりだかを描いてしまったのだが、上がってきた背景では、池が土で埋まって稲が植えてあった。小林七郎さんの添え書きがあって、「不忍の池は戦時中は田んぼになっていました」とあった。やはり、当時のことを直接に知る方にはかなわない。 コラムでくわしく説明されているが、小林七郎氏は1932年生まれのベテラン美術監
アジア歴史資料センターで公開している資料は、歴史研究だけではなく、映像作品やテレビ番組の制作における時代考証など、様々な分野で活用されています。そこで、アジ歴ニューズレター第30号の特別企画として、映画監督であり、航空史研究者でもある片渕須直氏に、自身の作品や研究と、アジ歴資料とのかかわりについてお話をうかがいました。 プロフィール 片渕須直(かたぶち・すなお) 1960年大阪府枚方市生れ。日本大学芸術学部映画学科卒。アニメーション映画監督。監督デビュー作は『名犬ラッシー』(「世界名作劇場」)。その他の主な監督作品に『BLACK LAGOON』、劇場公開作品に『アリーテ姫』『マイマイ新子と千年の魔法』『この世界の片隅に』。『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が2019年12月20日公開予定。航空ジャーナリスト協会会員。 ―片渕監督は最初、航空史研究のためにアジ歴を利用されていたとのこと
能年玲奈に会った! いや、現在は「のん」に改名している。3年前、「あまちゃん」で大ブレークしたが、所属事務所との確執が報じられ、休業状態に陥っていた。先ごろ、独立して改名、活動を再開したのだ。 アニメ映画「この世界の片隅に」の主演で声優として抜擢(ばってき)された。9月半ば、マスコミ試写の初回は大雨の朝の渋谷だったが、ずぶ濡(ぬ)れになって駆けつけた。映画の冒頭、コトリンゴの唄(うた)う「悲しくてやりきれない」が流れ、青い空に「のん」とクレジットされた瞬間、思わずウルッときた。ああ、能年玲奈がスクリーンに帰ってきた! 映画は素晴らしかった。こうの史代の漫画原作を片渕須直監督がアニメ化した。昭和19年、広島から呉に嫁いだ若い女性の物語だ。戦時下の日常を丹念に描く。戦争の悲惨さを声高に訴える作品ではない。今、生きる人々のように暮らしがある。それゆえ終盤の戦災の場面はより痛切だ。
11月12日に公開されたアニメ映画『この世界の片隅に』が土日2日間で初週を大きく上回る興行収入5,679万8,980円、観客動員数3万9,638人を記録し、前週に続いて10位にランクインした。今年は『君の名は。』が興収200億円も視野に入る驚異的ヒットとなっており、2週連続10位など大したことはない……と感じるかもしれない。が、全国63館から始まった小規模公開でランクインしたのは相当な快挙。上映館数で言えば『君の名は。』の約5分の1であり、100館に満たない作品がランキングに入るケースは希少なのだ。そのヒットの理由を分析してみた。(村山章) 【動画】口コミで異例のヒット!『この世界の片隅に』予告編 『この世界の片隅に』は、第13回メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したこうの史代の同名漫画を『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)の片渕須直監督が6年の歳月をかけてアニメ化したもの。太平洋
結構気になる論争なのでまとめてみました。 この世界の片隅に : 下 (アクションコミックス) 作者: こうの史代出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2012/09/07メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るこの世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック 作者: 『この世界の片隅に』製作委員会,.出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2016/10/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (12件) を見る この記事で取り扱う「この世界の片隅に・太極旗論争」とは 『この世界の片隅に』というマンガ、及びそのマンガを元にしたアニメ映画の終盤において描かれた、終戦後の呉市で掲げられた太極旗と、それを目にした時の主人公すずの言葉をどのように解釈するかを巡った論争。 その場面を描くにあたって、原作マンガと、それを元にしたアニメ映画の間での言葉の違いについて、なぜそこの言葉
徳島県で開催されているアニメイベント「マチ★アソビvol.14」(5月3日~5日)で3日、ufotable CINEMAにて、片渕須直監督による『この世界の片隅に』プレゼンテーションが行われた。 『この世界の片隅に』は、こうの史代氏の同名コミックが原作。昭和19年の広島・呉にお嫁にやってきた18歳のすずが、あらゆるものが欠乏していく中で工夫を凝らす生活の日々、それでも激化する戦争の中で奪われていく大切なもの、それでも続いていく日常について描いている。クラウドファンディングサービス「Makuake」で2015年3月9日にスタートした「片渕須直監督による『この世界の片隅に』のアニメ映画化を応援」プロジェクトが、3月18日には当初目標の2,000万円を突破したニュースで大きな注目を集めた。 今回のイベントでは、片渕須直監督が制作のために集めた膨大な映像資料をスクリーンに上映しながらトークを行った
『彼女の想いで』 どうも、管理人のタイプ・あ~るです。 さて、先日ツイッターをやっていたら新型コロナウイルスの話になって、そこから(どういう流れか忘れましたが)、なぜか『最臭兵器』の話題になったんですね。 『最臭兵器』とは、大友克洋が製作総指揮を務めた短編アニメの一つであり、他2つの短編アニメ(『彼女の想いで』&『大砲の街』)と合わせて、オムニバス形式の『MEMORIES(メモリーズ)』というタイトルで1995年に劇場公開されました。 そこで僕は「昔こういうアニメがあったんですよ~」的な軽い気持ちで動画を投稿したんですよ。そしたらなんと、メチャクチャ拡散されて5万件以上もいいねが付いてしまったのです。えええ!?なんで!? 本日、なぜか『最臭兵器』が話題になっていたので久しぶりに鑑賞。このアニメは1995年に公開されたオムニバス映画『MEMORIES』(大友克洋製作総指揮)の中の一作で、手描
『グラウンド・ゼロを書く 日本文学と原爆』(ジョン・W・トリート著)の原著の刊行は1995年のことなので、むろん著者にその意図があったわけではないが、いわゆる「ネトウヨ」的なものの源流などについて考えさせられる部分があった。 1966年発表の井伏鱒二の『黒い雨』は高く評価され広く読み継がれることになるがその刊行後、、意外にも山本健吉や江藤淳といった保守派からも絶賛された。 現在では『黒い雨』は原爆の悲惨を語り継ぐ「戦後民主主義」的な作品として受けとめている人が多いであろう。それをなぜ保守派が絶賛したのだろうか。その理由は山本の「地についた平常人」の次の箇所を読むとよくわかる。 「[他の原爆文学の作品は]あまりにハードボイルドに書かれ過ぎた。あまりに政治の手に汚され過ぎた。あまりに安易な符牒で呼ばれ過ぎた。井伏さんがこれを書いてくれなかったら、私は日本人として、何時までもやりきれない思いを
東北新社が石川県金沢市にて、最新テクノロジーにより映像とクリエイティブを進化させていく未来型のプロジェクト「eAT2017 in KANAZAWA Powered by TOHOKUSHINSHA」を1月27日、28日に行った。初日には、映画『この世界の片隅に』の片渕須直監督と、『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督の基調講演を開催。クリエイティブディレクターのPOOL小西利行氏をモデレーターに、高い評価を集めている2人の映画監督が製作の裏側を語った。 小西:樋口監督が『この世界の片隅に』を見た直後に、「この映画は絶対に見た方がいい!」って、いろんな人に言っていましたね。 樋口:はい、初日に娘と二子玉川の映画館に行きました。なぜ初日に行ったのかと言うと、「動員に貢献しなきゃ」って思ったからです。俺の中で片渕さんは「神」と呼んでも差し支えないほどの存在。『魔女の宅急便』の演出を担当されているときから
かつては毎日更新していたこのブログですが、2016年をもって毎日更新をやめ、それでも当初は週イチぐらいで書きたいなどと言っておったのがどんどん退化していき、2019年は今日まで2回しか更新していないというから、人間というのがいかに低きに流れる性質を持った生き物かわかるものです。まぁ最近はツイッターばかりやってるからでもあるけど。こうやって字数を切り詰めずに文章を書くという行為も、久しくやっておりませんですよ。 長年親しんでいたはてなダイアリーから、はてなブログに移行したのはいいけど、新しいUIに馴染むことができず、こうやって文字を入力していても、ちゃんと表示できるのかどうか不安だったりします。 そんな状態ではありますが、毎年恒例のこの企画だけはやります! すっかり廃墟というか跡地になってしまったこのブログで、呼びかけたって誰も読まないし参加しないかもしれないけど、でもやるんだよ! 過去の歴
ふるや つねひら/1982年北海道生まれ。立命館大学文学部史学科卒業。著書に『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』(コア新書)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮新書)、『草食系のための対米自立論』(小学館新書)など。 この著者の関連記事 公開館数六十八館と小ぶりながら、口コミが口コミを呼び観客動員十二万人突破(十一月二十一日現在)で配給会社(東京テアトル)の株価がストップ高になるという、空前の盛り上がりを見せているアニメ映画『この世界の片隅に』(片渕須直監督)。様々な論者が憲法や社会問題について寄稿するWEBサイト『マガジン9』掲載の匿名ライター中津十三氏の評が秀逸だったので紹介したい。 戦前・戦中・終戦直後の広島県呉市を舞台に、主人公すずの日常が描かれる本作。これまで、空襲や原爆を描いたアニメや映画、ドラマ等で繰り返し強調されるのは「戦時下の非日常性」と「強烈な反戦・反核メッセージ」の二つ
異例のロングラン上映となっているアニメーション映画「この世界の片隅に」が、公開開始から12日で2年となり、片渕須直監督は「幸せに恵まれた映画になって本当によかったなと思っています」などと話しました。 映画の公開開始から12日でちょうど2年となり、東京 新宿の映画館では上映のあと、片渕須直監督が舞台あいさつを行いました。このなかで片渕監督は「たくさんの方々に見ていただいて、幸せに恵まれた映画になって本当によかったなと思っています」と喜びを語りました。 配給元の東京テアトルによりますと、作品に込められた監督の思いを伝えたいなどの理由から各地の映画館から今も上映希望が寄せられ、これまでに例のないロングランになっているということです。 さらに、この作品に新たな場面の追加などを行った長尺版の「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の製作も進められているということで、片渕監督は「見応えのあるものになる
2016年11月12日に公開されて週末動員ランキングに12週連続でトップ10入りし、キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・テン第1位、日本アカデミー大賞優秀アニメーション作品賞、毎日映画コンクール日本映画優秀賞などを獲得して現在も公開が続いている「この世界の片隅に」で、応援によって大ヒットしていることに対する、主人公・すずさんからの感謝のメッセージが新録の音声で公開されました。 全国拡大上映中! 劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」公式サイト http://konosekai.jp/ すずさんのありがとう - YouTube ©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 「『この世界の片隅に』観客130万人を超えて主人公・すずさんからの」 「ありがとう。」 すずさんを演じるのは連続テレビ小説「あまちゃん」の天野アキ役などで知られる女優・のんさん。劇場アニメの主演はこれが初ですが、
この記事は2018年3月9日放送の「NHKラジオすっぴん!『片渕須直インタビュー(聞き手高橋源一郎)』」の文字おこしです。 ・ラジオの音声を文章化したもので文責は私「an-shida」です。 ・読みやすいように語順の調整などをしています。また言い間違いだと私が判断したものについては注釈なしで直している箇所があります。 ・大変長いので小見出しを私がつけています(ラジオ放送時にはなし)。 ・公式の指示があったときは速やかに公開を停止します。 ・もし公式の要請があれば本おこしを提供いたします。 本編 片渕監督のプロフィールと映画『この世界の片隅に』ができるまで 高橋 すっぴん!スピンオフ「震災特集 物語の力」。高橋源一郎と。 藤井 アンカーの藤井彩子でお送りしています。ここからは特別企画スペシャル対談です。先日アニメーション映画監督の片渕須直さんをお迎えして収録しました。 高橋 スタジオには僕と
第二次世界大戦末期のフィリピン、日本軍が壊滅しつつあるレイテ島。 肺病となった田村一等兵は、部隊から追い出され、傷病兵に満ちた野戦病院からも追い返され、どこにも居場所がなくなった。 密林をさまよう田村一等兵は、現地人にめぐみを求めたり、敗走する日本兵に出会いながら、はてしなく追いこまれていく…… 大岡昇平『野火』を原作として、ほとんど自主制作で塚本晋也監督が実写映画化し、2014年に世界初公開、2015年に日本全国で公開された。 映画「野火 Fires on the Plain」オフィシャルサイト 塚本晋也監督作品 1959年にも市川崑監督が映画化しているが、原作ともども簡単なあらすじを見たことがあるだけ。そのため、脚本も手がけた塚本監督の物語構成における独自性は、間接的な情報でしか知らない*1。 ただ少なくとも、1時間半に満たない尺ながら、出口のない戦場を右往左往する疑似体験には充分だっ
※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。 元マッドハウスの社長・丸山正雄氏が、新会社MAPPAを設立してから5年が経過した。その間、同社は「坂道のアポロン」「神撃のバハムート GENESIS」などすぐれたアニメ番組を制作してきた。2016年11月12日(土)に公開の決まった映画「この世界の片隅に」も、MAPPAの制作だ。 今年で75歳をむかえた丸山氏だが、どんな姿勢でアニメ制作と向き合っているのだろう? 猛暑の中、仕事場にお邪魔した。 来年、再来年に倒れても大丈夫な体制をつくっておく ──MAPPAの立ち上げから5年が経過して、現在の丸山さんのお立場は? 丸山 もともとは、マッドハウスを出て、新しいスタッフたちとで作品をつくるため、2011年にMAPPAを立ち上げました。設立か
「エースコンバット7」の“攻めた”要素はなぜ生まれたのか。河野一聡氏&下元 学氏に開発の裏側を聞いた 編集部:早苗月 ハンバーグ食べ男 2019年1月17日のPS4/Xbox One版発売,2月1日のPC版発売から,2月7日にはシーズンパスのティザートレイラーも公開され,ファンの間では今後への期待がさらに高まっている「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」(以下,ACE7)。 筆者としても大絶賛なものの,本作で果たされた“空の革新”に関しては賛否両論の意見を多く目にするうえ,筆者自身も「評価が難しいタイトル」ではあると捉えている。本作は“攻めた”設計思想で作られており,言うなれば「エースコンバットのビッグウェーブ」的なタイトルなのだ。 サーフィンはビッグウェーブなほど面白いが,誰もがビッグウェーブに乗れるわけではない。 本作の評価は,このビッグウェーブに乗れたか乗れなかったかで二分され
小規模公開から異例の拡大上映へ 2016年11月12日に公開された当初は、全国63館と小規模だったものの、その後全国で拡大上映を続けている劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」。こうの史代さんの漫画「この世界の片隅に」を原作に、監督を片渕須直さん、音楽をコトリンゴさんが務めた映画です。のんさんが主役を演じることでも大きな話題を呼びました。 左から片渕須直さん、のんさん、こうの史代さん(写真:MANTAN/アフロ) 左からコトリンゴさん、のんさん、片渕須直さん(写真:MANTAN/アフロ) 2017年1月4日付けで、興行収入は10億円を突破。この時点で、上映は116館までに拡大していました。さらに、2017年1月10日に発表された「2016年 第90回キネマ旬報ベスト・テン」の「日本映画ベスト・テン」の1位を「この世界の片隅に」が獲得。片渕須直さんも監督賞を受賞しています。2017年1月12日
2017年7月に閉館となる立誠シネマが、場所を変えて新たに生まれ変わります。それも、今度は本屋そしてカフェと一緒に。この場所を、今後10年、20年と続いていくような文化発信地に育てていくための仲間を募集します。 ◆まずはじめに、ご挨拶 こんにちは。シマフィルム株式会社の田中です。2013年より、元立誠小学校で立誠シネマプロジェクトを運営してきましたが、この度閉館を迎えるにあたり、新しい場所で再スタートを切ることを決意しました。その名も、”出町座(仮)”。映画と本屋とカフェを融合させた施設にすることで、来館してくださる皆様との交流が生まれやすい場所にしたいと考えています。 ↑左からYUY BOOKSの小野友資、田中誠一、フィルムアート社の宮迫憲彦。”出町座(仮)”は、この3人に、ホホホ座浄土寺店元スタッフのうめのたかしを加えた4人で運営していきます。 それでは、私たちがなぜこの新しい場所を作
「この世界の片隅に」が全米で公開 ニューヨーカーたちの反応は? 2017年8月15日 10:00 大都市の65館で封切り[映画.com ニュース] 昨年から日本中を沸かせている片渕須直監督作「この世界の片隅に」が8月11日(現地時間)、ついに全米公開を迎えた。 宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」がアカデミー賞長編アニメ―ション賞を受賞したように、アメリカでは日本のアニメは、スタジオジブリ作品を中心に注目度が高い。「ドラゴンボール」など日本でお馴染(なじ)みのテレビアニメはアメリカでも根強い人気を誇り、最近では、Netflixに「進撃の巨人」や「亜人」などがラインナップ。アメリカでの日本製アニメの需要の高さを物語っている。さらに今年4月には、新海誠監督のメガヒット作「君の名は。」が公開され話題を呼んだ。「この世界の片隅に」はこの一連の流れを受け、満を持してスクリーンに登場する。 ニューヨークで
追記・2018/8/13 バートレット大尉の声優・石塚運昇さんが亡くなられました。 いつまでもあの名台詞を忘れません。 御冥福を御祈り申し上げます。 Twitterにて、私の『エースコンバット』(以下『AC』)に対する想いに多くの方から「いいね」をいただき、正直自分でも驚いている。また、本シリーズディレクターの河野一聡氏、本シリーズの脚本を務められており、映画『この世界の片隅に』などの監督としてもご活躍されている片渕須直氏からもコメントをいただいた。 改めて感謝を述べたいと思う。 最初に断っておくが、本記事を書こうと思った理由は決して「Twitterでの反応が良かったからこの好機を逃さずにブログの観覧者数を増やしてやるか〜」といった安易な動機ではない。 あれほど多くの反応を垣間見て、『AC』という作品の文化的価値の高さを改めて感じたからだ。 今回取り上げる『エースコンバット5 ジ・アンサン
監督・脚本:片渕須直 原作:こうの史代『この世界の片隅に』 ペルソナ5 - PS4 出版社/メーカー: アトラス発売日: 2016/09/15メディア: Video Gameこの商品を含むブログ (32件) を見る この物語はフィクションである。 作中の如何なる人物、思想、事象も、全て紛れもなく、貴君の現実に存在する人物、思想、事象とは無関係だ。 以上のことに同意した者にのみ、このゲームに参加する権利がある。 同意する/しない ゲーム「ペルソナ5」より。 私は、ついこの間まで「ペルソナ5」というゲームを熱心やっていた。「女神転生」シリーズから派生した大人気シリーズのRPG最新作だが、そのゲームを始める前に問われる質問がこれである。そして同意しない限りゲームは始められない。 このゲームの舞台は「東京」である。JRや地下鉄の通り方はリアルそのもので、町並みも現実の街並みをもとに模して作られてい
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