5月15日付の本コラム(「新型コロナ休業への公的直接給付をめぐって」)において、当時創設に向けた動きが進みつつあった新型コロナウイルス感染症に係る休業者への直接給付に関して、失業保険/雇用保険制度における災害時の見なし失業制度や一時帰休に対する失業保険の適用について簡単な解説を行った。その新たな直接給付制度の法案要綱が、5月26日の労働政策審議会職業安定審議会に諮問された。今後、法案が国会に提出され、成立すれば直ちに省令等が制定され、施行されることになる。 前回コラムでも述べたように、この新制度は本来休業労働者の保障の中心的政策手段であるはずの雇用調整助成金の受給手続きが遅々として進んでいないことから、日本弁護士連合会や生存のためのコロナ対策ネットワークといった民間団体が災害時の見なし失業制度の適用を要求したことがきっかけである。しかしながら、同制度はあくまで地震や台風といった「激甚災害」