冬期限定ボンボンショコラ事件 〈小市民〉シリーズ (創元推理文庫) 作者:米澤 穂信 東京創元社 Amazon 2024年4月26日に刊行された長編四作目にして長編としての最終作『冬期限定ボンボンショコラ事件』をもってその物語の着地を迎えた(短編及び短編集等は今後も出る予定とのこと)「小市民シリーズ」。 ここで改めて『冬期限定ボンボンショコラ事件』(以下、「冬期」と略す)及び「小市民シリーズ」全体を、とことん小鳩常悟朗と小佐内ゆきの二人の物語として捉え、その在り方について考えてみたい。 それを言い換えるなら、描かれた個々の事件を超え。 シリーズを通じて描かれたのは「二人の出会いと関係性の変化」という一つの事件である という捉え方になる。 【目次】 ■1:最初から傲慢だった二人は、最後に到ってもやはり傲慢なまま。ただ「なんのために傲慢であるか」が変わった。 ■2:小佐内ゆきが復讐に耽溺する理