世のためにつくした人の一生ほど、美しいものはない。ここでは、特に美しい生がいを送った人について語りたい。緒方洪庵のことである。 で、始まる司馬遼太郎さんの『洪庵のたいまつ』。小学5年生の国語教科書(1995年)向けに書かれたものを、一部交えながら、江戸時代末の日本の西洋医学の夜明けと緒方洪庵先生について紹介したいと思う。 (『洪庵のたいまつ』の全文はネットで検索すれば読めます) 二十一世紀に生きる君たちへ 司馬遼太郎記念館発行 洪庵は備中(今の岡山県)の人である。・・・江戸時代、足守藩という小さい藩があって、緒方家は代々そこの藩士だった。父が藩の仕事で大坂に住んだために、洪庵もこの都市で過ごした。 こどもの頃から病弱だった洪庵先生、自分への歯がゆさとともに、しかし、人が健康であったり、病気になったりすることを考えた。そしてそれがバネとなり、当時、最新だった蘭方医学(蘭学)を学ぶようになった