香港の抗議活動が暴力化の度を強めている。この背景と課題を中国の事情に詳しい瀬口清之氏はこう見る。「香港政府への怒りや、共産党政権への不安は理解できる。しかし、それが、よりよい社会を作るための政策に結びついていない」。それはなぜなのか。 (聞き手 森 永輔) 6月に100万とも、200万とも言われる数の人がデモに参加していた時は、統制が取れており、平和的なものでした。しかし、リーダー格の人が拘束されるにつれてその統制が利かなくなり、歯止めのないものになっています。 リーダーは穏健派の人々だったのですか。 瀬口:抗議活動に参加する人の主張は、穏健派から勇武派(いわゆる武闘派)まではかなりの幅があり、それぞれのグループにリーダーがいました。そうしたリーダーを含む2400~2500人がすでに拘束されています。このため、例えば「今日のデモはこの辺でやめにしよう」と言っても、勝手に行動する集団が出てき