中学生のとき、運動会で1500メートル走の選手に選ばれてしまい、ひとりだけ何周も遅れて完走したときのことを忘れられない。会場からは拍手があがり、親友が走ってきてねぎらってくれたが、私にとっては生き地獄のように感じられた。 (横道誠『〈逆上がり〉ができない人々』明石書店、2024) こんばんは。拍手をしている人たちは、おそらくあたたかい場面だなぁと感じていたことでしょう。小学校の運動会でもよくあります。私もその都度、何となく拍手をしちゃっています。対象となっている児童が発達性協調運動症(DCD)者かもしれないということも、生き地獄のように感じているかもしれないということも、感動ポルノと同じ構図になっているかもしれないということも、全く想像することなしに、です。 僕のお父さんは、桃太郎って奴に殺されました。 立場が変われば見える世界もガラリと変わる。もしも鬼の子どもが主人公だったら。もしもDC