◆亀井秀雄『感性の変革』講談社、1983年6月 再読か再々読になる本。何回読んでもすばらしい本だ。近代文学に関する評論では、群を抜いている。出たのが1983年なのに、未だにこの評論の価値は失われていないし、それどころかますます重要性が増しているのではないかと思う。多くの研究者が嘆いているように、本書がもう長い間品切れ状態にあり、また文庫にもなっていないという事態は近代文学研究にとって不幸としか言いようがない。もし、この本が復刊なり文庫化されたら、私はぜったいに2、3冊は買ってしまうだろうなあ。 この本の帯にはこう書かれてある。 日本近代文学の成り立ちとその構造の中に、《無人称の語り手》と呼ぶべき表現特質を見出し、その生成と変容を表現史的に解明する。豊かな表現の可能性を、黎明期の文学的営為の中に追求した画期的評論。 そうなのだ、本書はこの「無人称の語り手」に着目し、その表現構造を分析する。そ
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