リフレ派の人々がいまだに使うレトリックに「バーナンキの背理法」というのがある。日銀がいくら国債を買ってもインフレが起こらないとすれば「無税国家」になるので、インフレはいつか起こるという話だ。勝間和代氏のようなアマチュアがいうのはともかく、岩田規久男氏が次のように書いているのには驚いた。 日銀がいくら国債を買っても、物価は上がらず、デフレが続くとしよう。すると、日銀はインフレを心配せずに、市場に存在する国債をすべて買い切ってしまうことができる。[・・・]それでも、デフレが終わらないならば、政府は税金を廃止して、財政資金をすべて国債発行でまかない、その国債を日銀がお札を刷って買い上げればよいことになる。無税国家の誕生であり、これほど国民にとって喜ばしいことはない。(p.97) これはそもそも背理法になっていない。かりに上の命題が成立したとしても、政府は日銀に数百兆円の債務を負うので、それを返済
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