革命後の世界を求めて 赤松啓介『非常民の民俗境界』(明石書店)を読んだ。 分類としては一応、民俗学の研究書になるかもしれない。祭祀・差別・性・階級などさまざまなテーマを扱っている。しかし結論や概要のある論文ではなく、本書自体が民俗のありようを証言する一次史料となっている。 著者は、戦前の加古川流域(兵庫県)で行商・共産系の社会運動・民俗学の調査の3つを同時に行ってしていたという人物で、社会生活のドブの底に浸かって活動した過去にふさわしく、いかがわしく迫力のある読み物になっている。本書の記述がどこまで事実を反映しているかというと疑問符がつくが、いかがわしさを含めつつ書き記す著者の態度には、見るべき真実がある。 本書を読んで、私はぐったりと疲れた。本書の調査対象となった農村の内輪ぶりに打ちのめされた。 「内輪」とは、たとえば本書247~248ページ: そこでよくいわれるのは、若衆仲間の目的・役