『クォンタム・ファミリーズ』は、東浩紀の小説。『新潮』2008年5月号から2009年8月号まで「ファントム・クォンタム」として断続的に連載後、大幅な加筆修正と改題のうえ2009年12月に新潮社より刊行された。東はそれまで主に批評家として活動し、2008年には桜坂洋との合作小説『キャラクターズ』を刊行しているが、単著ではこれが第一作の小説である[1]。内容は量子論を背景とした並行世界を扱う近未来SFで、タイトルを直訳すると「量子家族」になる[2]。 2010年に第23回三島由紀夫賞を受賞。東は1999年に評論『存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて』で同賞の候補になっており、10年越しの受賞となった。 主人公・葦船往人(あしふね ゆきと)はやがて35歳になる売れない小説家であり、私立大学の文学部に教官として勤めている。彼は自分の担当編集者であった大島友梨花(おおしま ゆりか)と結婚してい