今年の私のブログ活動の中で最も大きな成果は、オーウェルの『一九八四年』の発見である。この政治学的な発見と問題提起については、我ながら満足を覚え、一年の締めくくりにそう報告することができる。政治学者ならば、日本の今の現実についてオーウェルの比喩で説明し、人々に恐怖の覚醒を促さなくてはいけない。オーウェルの『一九八四年』を2010年の日本の姿を予言した書として紹介し、オーウェルの世界がわれわれの日常である真実を浮き上がらせ、それを説得することを日本の知識人はしなくてはならない。この知見は、現実を分析する上での一つの有効な政治学的方法の発見であると言えよう。レントゲン撮影による身体の透視が、自覚なき患部の異常を視覚的に証示するように、このメタファーの方法的適用はわれわれに現実の真相を図解して検知させるものだ。オーウェルの『一九八四年』が、われわれに現代日本の社会の概念と類型を教える。そう確信する