第1回「秘やかで孤独な祭典のために」 大久保 清朗 (C)Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS少女が曠野を歩いていく。最後になるかもしれない死闘のために、風に抗い、たったひとりで。 目前に魔物が立ちはだかる。白い屍衣を待った巨大な死神たちだ。それでも少女は立ち止まることはない。彼女の背中に黒き怨念の影が広がる。翼のようにも見えるが、この世界のすべてが彼女の小さな双肩にのしかかっているようにも見える。そのとき、暁美ほむらの耳許で囁きが聞える。まぎれもない。それは親友鹿目まどかの声だ。ほむらは、かすかな微笑みとともに飛び立つ。文字どおり黒い火焔となって。 『魔法少女まどか☆マギカ』は――冒頭が映写機の輪転音とともに始まったように――カタカタと音をたてていた輪転が途絶えて終わる。かつて『仮面/ペルソナ』で、イングマール・ベルイマンもこの古風な機械音