6月30 竹中亨『ヴィルヘルム2世』(中公新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 最後のドイツ皇帝にして第一次世界大戦を引き起こした指導者の1人とも考えられているヴィルヘルム2世の評伝。 近年、今まで評価の低かった人物を再評価するような評伝がよく見られます。ヴィルヘルム2世も決して評価の高い人物ではないので、この本もそういった再評価をする本かとも思いましたが、そうではありません。ヴィルヘルム2世のだめな部分を容赦なく書いています。 ただ、同時にドイツの複雑な国制や急速に変化する時代状況を描くことで、ヴィルヘルムの立たされた難しい立場と、その難しい立場をよくわかっていなかったヴィルヘルムの姿が浮かび上がるようにもなっています。 とり上げられている人物に特に共感できないのに面白いという、なかなか珍しい評伝と言えるでしょう。 目次は以下の通り。 第1章 二人のヴィルヘルム 第2章 「個人統治」へ